社員の副業は禁止できる?企業が知っておくべきポイント
メルキタ
2025.08.04
多様な働き方が浸透し、社員の副業について関心が高まっています。「社員が副業をしたいと言っている。どこまで認めるべきか」「会社として副業を禁止することは可能なのか」と疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、企業が社員の副業について法的側面で知っておくべき点や、考えるべきポイントについて解説します。
副業・兼業は法律では禁止されていない
労働基準法には、副業・兼業を直接的に禁止する規定はありません。むしろ、「職業選択の自由」との兼ね合いからも、本業の労働時間外であれば副業を行うことは個人の自由です。しかし、就業規則で禁止することは可能であるため、多くの企業では副業・兼業を禁止する旨を定めています。ただしこれは、以下に挙げるような、企業の正当な利益を保護する理由があるときに限られます。
| 本業の働きぶりに支障が生じる場合 | 副業の疲労から本業のパフォーマンスが著しく低下するなど |
| 企業秘密が漏洩する場合 | 自社の機密情報やノウハウを副業先で利用するなど |
| 会社の名誉・信用の毀損、信頼関係の破壊がある場合 | 社会的に不適切であったり、ブランドイメージを著しく損なう、背信行為とみなされるような副業など |
| 競業により企業の利益を害する場合 | 自社の売上や顧客を奪うなど、正当な利益を直接的に侵害する副業 |
政府も推進、広がる副業
近年、副業は労働者によって開かれた権利のような位置づけになりつつあります。
厚生労働省が公表している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、2018年1月にモデル就業規則を改定。「許可なく他の会社などの業務に従事しないこと」の文言を削除し、「労働者は、所定労働以外の時間において、他の会社等の業務に従事することができる」と明記されています。これは、労働者の多様なキャリア形成や自己実現を支援する観点からも、副業・兼業を原則として容認する方向へと企業に促すものといえるでしょう。
実際に、副業をしている人は年々増加傾向にあります。総務省の就業構造基本調査によれば、2022年の副業者数は332万人に達し、10年前の2012年の234万人から4割増加しています。副業者率(有業者に占める副業者の割合)も、2012年3.6%だったのが、2017年には4.0%、2022年には5.0%へと上昇しています。
なぜダメなのか?話し合って「OKライン」を探る
情報漏洩や本業への影響といった懸念はあるものの、開かれた権利となりつつある副業・兼業を慣習的に禁止することは、時代に逆行してしまう可能性があります。
また、社員の副業・兼業自体が企業側にはデメリットばかりと思いがちですが、企業にとってもメリットがあります。
| 社員のスキルアップ | 副業を通じて新たなスキルや知識を習得し、本業に活かすことで、個人の成長だけではなく企業の生産性向上にもつながる可能性がある |
| エンゲージメントの向上 | やりたいことに挑戦できる環境が、社員のモチベーションやエンゲージメントを高める(離職率の低下に寄与する可能性も) |
| 多様な人材の確保 | 柔軟な働き方が多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を引きつける要素になる |
| 企業の度量を示す | 副業に寛容な姿勢を示すことは、社員からの信頼を得て、企業のブランドイメージ向上にもつながる |
今一度、副業に対する考え方を社員と話し合い、「なぜダメなのか」その理由を具体的に掘り下げてみてはいかがでしょうか?理由を踏まえた上で、どこまで認めることができるのか「OKライン」を探してみるとよいでしょう。明確なルールを定めて、社員との間で十分にコミュニケーションをとることで、よりよい関係を築いていけるはずです。