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【規則・法律あれこれ】社会保険の適用拡大で何が変わる?企業の対応ポイント

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2022.07.19

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2020年に施行された年金制度改正法。そのポイントの一つが「短時間で働いているパート・アルバイト従業員への社会保険の適用拡大」です。現行では対象となる事業所は従業員数※501人以上ですが、2022年10月には101人以上の企業に、2024年10月には51人以上の企業も対象になります。これにより、これまで扶養の範囲内(年収130万円未満)で働いていたパート・アルバイトも社会保険に加入しなければならないケースがでてきます。
※ここでの「従業員数」とは現在の正規従業員及び正規従業員の4分の3以上の労働時間・日数で働くパート・アルバイト従業員の社会保険適用対象者数です。

今後どのような従業員が適用拡大の対象になるの?

今後社会保険の対象となるのは、次の4つの要件をすべて満たした場合の短時間で働いているパート・アルバイト従業員です。

1. 週所定労働時間が20時間以上あること
2. 月額賃金が8.8万円以上あること
3. 2カ月を超える雇用の見込みがあること
4. 学生ではないこと

従業員にはどんな影響があるの?

そもそも、社会保険の加入条件が拡大されるのは、パート・アルバイトの将来の所得保障や働きやすさの実現を目指してのこと。メリットとして、フルタイムの従業員と同じように厚生年金保険や健康保険の被保険者となり、年金などの支給を受けられるということなどが挙げられます。
一方で保険料を支払う必要がある、配偶者の扶養から外れることで配偶者の税金が増える、扶養手当がなくなるなどが考えられ、従業員からは「手取りが減るのでは?」という声があがる可能性もあります。

企業の対策は?

①適用拡大後の負担を算出する
必ず行っておきたいのが、適用拡大後の企業負担の社会保険料の算出です。この負担額が経営にどの程度影響をもたらすのか把握し、対策を講じる必要があります。
厚生労働省では、負担する社会保険料がおおよそどのくらい変わるのかを簡単に試算できる社会保険料かんたんシミュレーター」を用意しています。

②社内周知・適用対象者本人の意向を確認する
社会保険の適用は本人の意志にかかわらず、要件に当てはまれば加入するのが原則です。加入対象となる従業員に対しては、周知を徹底しましょう。説明会や個人面談を行い、正しく加入のメリットを説明した上で、今後の働き方や労働時間などについて話し合いましょう。

まとめ

新たに対象となる従業員の社会保険料は企業が半分を負担することになり、コスト増がのしかかります。この負担は、企業にとって非常に大きいものです。労働時間・日数の設定など、今後どのようにしていくかを検討するなどし、直前になって慌てないよう、人材の活用について考えてみてはいかがでしょう。