【規則・法律あれこれ】残業させていないのに残業代が発生!?Wワークの盲点
メルキタ
2022.06.06
人手不足の昨今、Wワーク希望者でも大歓迎する職場は多いはず。その際、雇用側の注意点はいくつかありますが、中でも「時間外労働」は見落としがちな盲点です。A社とB社でWワークをするCさんの例で、残業代を支払わなければならないケースをご紹介します。
Wワークでは「通算」8時間/日を超えると残業代が発生
労働基準法では1日8時間、週で40時間が法定労働時間。そのラインを超えると時間外労働となり、25%以上の割増賃金(以降、残業代)の支払いが必要です。
Wワークのように2つ以上の職場で「掛け持ち」した場合は、労働時間が通算されるので要注意(労働基準法第38条)。合計8時間を超えた勤務については残業代が発生します。
残業代を支払うのは原則「後から雇用契約を結んだ事業所」
結論からいうと、通算労働時間が8時間を超える場合、原則として後から雇用契約を結んだ事業所(以下B社)に割増賃金を支払う義務があります。
A社はCさんを採用した時点で後にWワークを始めると知っているわけではありません。逆にB社の場合はCさんがA社で働いていることを面接などで理解したうえで、雇用契約を締結できる立場にあるためです。つまり、この場合は、B社がCさんに2時間分の割増賃金(残業代)を支払うことになります。
先に雇用契約を結んだ側が残業代を払う場合も
通算した労働時間が8時間以内の場合は、所定労働時間を超えて労働させたA社・B社ともに割増賃金(残業代)の支払い義務が発生します。
A社で1時間の時間外労働をした場合は、先に雇用契約を結んでいたとしてもA社が残業代を支払うことになります。
まとめ
Wワークは猫の手も借りたいという職場にとってありがたい存在。けれど、面接では後々のトラブルを防ぐためにも「Wワークをしているかどうか」や「先に働いている職場では何時間の所定労働時間か」をしっかりと確認することが大切です。また、Wワークでは勤務状況に合わせて社会保険の加入も必要になるため、詳しくは社会保険事務所などにご確認ください。