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【規則・法律あれこれ】「試用期間=解雇しても良い期間」は大きな間違い

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2021.11.01

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試用期間とは、長期雇用を前提としてその人の能力やスキル、適性などを見て、本採用するかどうかを見定めるための期間のこと。お試し期間のように考えている方もいるかもしれませんが、試用期間がスタートした時点で正式に雇用契約は成立しており、期間中に解雇したり、期間終了後に雇用関係を解消することは簡単にはできません。では、どのような理由ならば解雇や本採用拒否の理由として認められるか、また試用期間中に解雇する場合はどのような手続きが必要なのか、解説します。

解雇が認められる正当な理由って?

試用期間中は通常よりも広い範囲で解雇の自由が認められていますが、客観的に合理的な理由があり、社会通念上「解雇されても仕方がない」と認められる場合でなければ解雇できません。例えば以下のような場合です。

・勤務態度が極めて悪い場合
・正当な理由なく遅刻・欠勤を繰り返す場合
・本人の履歴に重大な虚偽の事実があったことが発覚した場合

など

注意しておきたいのは、いずれの場合であっても解雇理由について客観的に明確にする必要があるということです。「なんとなく会社の雰囲気に合っていないように感じた」「思っていたほどスキルがなかった」などは不当な解雇理由となってしまいます。解雇については就業規則に則って判断するのはもちろんのこと、客観的に解雇せざるを得ないことを証明する必要があります。

解雇に必要な手続き

試用期間中に解雇を行う場合の必要な手続きは、試用開始から解雇までの日数によって異なります。

◎試用開始から14日以内に解雇する場合

解雇予告なしで解雇することができます(労働基準法第21条)。

◎試用開始から14日を過ぎて解雇する場合

通常の解雇と同様の手続きを踏まなければなりません。
「30日前に解雇予告をする」か、あるいは30日前に解雇予告をしない場合は「解雇予告手当を支給する」の2通りとなります。

試用期間は延長できる?

試用期間で最も多いのが3カ月と言われています。例えばこの3カ月で適性が判断出来なかった場合、期間を延長することはできるのでしょうか?結論から言えば、延長を制限する法律はありません。ただし、一方的に企業側の意思で延長することは出来ず、以下のような条件を満たす必要があります。

1)就業規則で試用期間の延長があることを明示している
2)合理的な理由や特段の事情がある
3)試用期間の延長を事前に告知し合意している

ちなみに、試用期間の無期限延長については、過去の裁判で公序良俗違反で無効となったケースがあります。

まとめ

試用期間はすでに労働契約を結んでいる状態です。簡単に解雇しても良い期間ではなく、解雇は「やむを得ない場合」という、かなり限定的な場合のみに認められるものです。試用期間とはいえ安易に解雇するのではなく、できるだけ雇用を維持してくださることをお願いします。