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2040年の介護はどうなる?第9期改定の振り返りから見るロードマップ

メルキタ介護

2026.04.13

介護セミナー記事サムネ_修正.png介護保険制度がスタートして25年。第9期改定(2024〜2026年度)も残すところ1年となりました。3年目に向かうにあたって、この2年間を振り返りながら、将来に向けて今後どのような準備をすべきかを解説していきます。

厳格化により「やっているだけ」では評価されなくなった第9期

第9期では、BCP(事業継続計画)・高齢者虐待防止・身体拘束廃止・認知症基礎研修などが義務化され、未対応の場合は減算の対象となりました。
運営指導でも内容が細かく確認されるようになっており、BCPについては「計画を立てた・研修をした・シミュレーションをした・見直しをした」という一連のセットがきちんと整っているかどうかが問われています。
いずれもポイントとなるのは「形式上」ではなく「実態として機能しているかどうか」です。BCPでいえば「計画は立てたが、実際に使えるかどうか検証されていない」「見直しの記録が残っていない」というケースも少なくありません。ちなみに今年度は北海道でも津波警報が発令されるなどの事態がありましたが、これは訓練ではなく「本番」のため実績とは認められないという行政判断も出ています。訓練はあくまで別途計画・実施する必要があるということです。
認知症基礎研修は、介護資格を持たない職員への受講が義務となっています。対象者の取りこぼしがないか確認しておきましょう。

おさえておきたい「アウトカム志向」と「量から質」

国はすでに2040年を見すえた改定議論を進めています。そのキーワードが「アウトカム志向」と「量から質へ」の転換です。
これまでの報酬体系は体制が整っているか(ストラクチャー)、加算取得のプロセスが踏まれているか(プロセス)の2つを重視するものでした。しかし今後は、利用者の生活の質が実際に上がっているか、維持されているかという成果(アウトカム)に報酬が結びつく方向へ転換していきます。
研修についても同様です。「受けた」だけで終わらせるのではなく、研修の結果として実際に現場の行動が変わっているかどうかが問われるようになります。研修をこなすことが目的になってしまいがちな現状を見直し「学んだことで何が変わったか」を確認できる仕組みを作っておくことが重要ということです。
また、財務・運営情報の見える化も始まっています。今後は利用者・家族・求職者からも経営状況が見えるようになり「適正に運営できているか」の透明性が外から問われる時代が近づいています。

2040年にはデジタル・ICTは「標準」に

2040年のビジョンから読み取れる3つの軸としては、1つ目はデジタル・ICTの標準化。業務の効率化とデータの一元管理を、現場だけでなくバックオフィス側でも活用することが重要です。2つ目は多様な人材育成。介護や福祉を専門に学んできた人だけでなく、色々な人に参加してもらい、施設の理念やミッションに合った人材に育成していくこと。短時間バイトを活用する際も、しっかりとしたケアができる体制を整え、同じ人がリピートで来てくれるような準備が必要です。3つ目は組織全体としてのアウトカム志向です。働き方も多様になり、サービスのあり方も変わってくる中で、質やアウトカムに照準を合わせたやり方に柔軟に移行できるかが重要となるでしょう。
今からできる10期に向けた準備として行うべきは各々の業務を可視化する「業務の棚卸」です。AIやICTを使いながら簡単に整理を進めていきましょう。国の方針に片足を乗せつつ、これからの新しい絵を描いていくことが重要です。

※この記事は2026年2月19日に開催したジョブキタオンライン勉強会「第9期改定2年経過振り返りと第10期の備えについて」の内容を元に制作しています。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。