部下の「大丈夫です」を信じてはいけない?離職を防ぐ管理者の関わり方とは
メルキタ介護
2026.07.13
職員が突然「辞めたいんです」と相談に来たとき、本人の中ではすでに結論が出ていることがほとんどです。慌てて「給与を上げるから」「休みを増やすから」と手を打っても、もう手遅れになった...というケースは、管理職にとって「あるある」ではないでしょうか。というのも離職は突然起こるのではなく、日々の不満や不安が積み重なった結果として生じるもの。今回は、その積み重ねにいち早く気づき、支えるための、管理者の関わり方についてご紹介します。
離職とは「個人の問題」ではなく「職場の課題」である
介護労働安定センターの労働実態調査によると、離職の主な原因として毎年挙がるのが「人間関係」と、それによる心理的負担です。特に新人や異動・昇格した職員は、次の三つの不安を抱えやすいと言われています。
2. 職場の空気が読めない
3. 自分だけできていないような気がする
こうした孤立感が強まると、離職への引き金になります。表情が硬くなる、休憩中に一人を好む、ミスや遅刻が増える、相談が減る、声をかけても避ける、といった変化は危険なサインです。
ここで大切なのは、これを「あの人はやる気がない」と本人の問題として捉えないこと。「職場のどこに課題があるのか」と捉え、早急に介入することが管理者の役割です。
「相談される管理者」になる関わり方とは?
職場の心理的安全性を高めるには、管理者の穏やかな反応と共感的な姿勢が必要です。相談しやすい管理者には、否定せずまず受け止める、話を遮らない、回答を急がない、という共通点があります。忙しいとついつい「早く解決しよう」と動きがちですが、まずはゆっくり話を聞き、「大変だったね」「話してくれてありがとう」と気持ちを受け止めることが先決です。
あわせて見直したいのが、報連相の伝え方。「何かあれば報告して」と言っても新人がうまく報告できないのは、能力の問題ではなく、報連相のための「型」がないことに起因しています。例えば「状況・背景・気持ち・お願い」という順序で伝える「型」を共有する。最初から精度の高い報告を求めず「今どう感じているか」「何をお願いしたいか」というレベルでよいと伝えるだけで、相談のハードルは大きく下がるでしょう。
ちなみに最もいけない行為は否定・比較・人格攻撃の3つ。「みんなできてるよ?」「忙しいから後にして」といった発言には要注意です。
管理者の役割とは「気づき、支え、つなぐ」
表面的に「大丈夫?」と聞くと、たいてい「大丈夫です」と返ってきます。それを鵜呑みにして放置すると、抱え込んだ末に突然の退職相談につながりかねません。そこで効果的なのが、月1回15分ほどの1on1面談です。査定や問題解決のためではなく、伴走者として状況を把握する場と考えましょう。「最近どうですか」と調子を確認し、「困っていることはないですか」と仕事上の障害を把握し、できていることは「よく頑張っているね」と承認する。重要なのは「言葉」より「態度・行動」で、わずかな変化に気づけるかどうかが、その後の支援を大きく変えます。
明日からできることは三つ。毎日一人ひとりに必ず声をかけること、良いところを具体的に賞賛すること、そして月1回フラットに対話できる面談の機会をつくることです。「気づいていたのに何もできなかった、しなかった」という後悔をなくすために、今日から小さな行動をはじめてみましょう。
※この記事は2025年5月21日に開催したジョブキタオンライン勉強会「離職を防ぐ管理者のメンタルヘルス対応」の内容を元に制作しています。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。