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【規則・法律あれこれ】応募者の免許証確認はNG?

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2023.06.19

menkyo_title.jpg応募者の基本的人権を尊重する気運が高まるとともに、近年は求職者もジェンダーや出生地による「就職差別」がされていないか敏感にチェックする時代。こうした意識は応募書類にも向けられています。今回は、提出を求めるのが好ましくない書類について、その理由を解説しながらご紹介します。

提出してもらうのがNGの書類ってどんなもの?

応募、面接時に提出してもらうものといえば履歴書や職務経歴書。企業によっては、その他にも書類の提出を求めるケースがあると思いますが、なかには「就職差別」につながるおそれがあるものも。その一例をご紹介します。

◉提出を求めるのがNGの書類
・住民票
・戸籍謄本
・現住所の略図

◉提出を求めるのが好ましくない書類
・健康診断書(健康状態の確認)
・資格証・免許証(資格を保有しているかどうかの確認)
・運転記録証明書(過去1~5年の交通違反・事故・点数などの確認)
・卒業・成績証明書(学歴、卒業予定の確認)
・障がい者手帳(障がい者を雇用する場合)

上記の中には、応募資格を確認するために必要な書類もあるかもしれませんが、少なくとも面接時点で求めるのは望ましくありません。応募資格を満たしているかどうかは、面接・面談時点では口頭での確認にとどめ、採用後に書類の提出を求めることをおすすめします。

なぜNG?判断基準や対応方法は?

厚生労働省では「公正な採用選考」を提唱し、その基本的な考え方を「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」として周知しています。この観点から「住民票」「戸籍謄本」「現住所の略図」「健康診断書」の提出が好ましくない理由を紐解いてみましょう。

◉「住民票」「戸籍謄本」
この2つの書類には「本人の適性・能力」を判断する情報が記載されているわけではありません。応募者の出生地がどの地域であっても、「応募者の適性・能力」とは無関係。場合によっては差別と捉えられかねません。

◉「現住所の略図」
住宅状況や生活環境を把握したところで、応募者の適性を判断する基準にはなりません。敏感な求職者には「身辺調査に使われるのでは」という恐怖心を与えてしまう可能性もあります。

◉「健康診断書」
血液検査などが記載された「健康診断書」も、例えば「血液型で採否を判断された」と誤解を招いてしまうケースもあります。極力面接時の提出を求めないほうが良いでしょう。
※ただし、運転業務がある場合に失神などの発作が生じないか確認するためであれば、提出の必要性があると見られます。こうしたケースは本人に同意を得た上で説明することが大切です。

応募者に求める書類は、「応募者の適性・能力のみ」が判断できるものにしましょう。それ以外の情報がどうしても必要な場合は、求人広告への記載や面接時の説明を徹底し、本人の理解・同意を得ることが大切です。これまで慣例的に書類の提出を求めている場合もあるかもしれませんので、本当に必要かどうか見直してはいかがでしょうか?

同じ理由から、面接では聞いてはいけない質問もあります。こちらの記事で紹介していますのでぜひご確認ください。