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介護福祉業界で効果を上げている採用手法とは?

メルキタ介護

2025.09.16

介護セミナー918配信 (1).jpg高齢化により年々難易度が高くなる介護福祉業界での採用。「求人を出しても応募が来ない」「採用にかかる費用が年々増加している」という悩みを抱えている方も多いことでしょう。しかし、厳しい状況でも工夫を加え成果を出している事業所もあります。今回は求人の「出し方」の工夫で成功した事例をもとに、実践的な方法をご紹介します。

介護業界の採用は「超激戦」が現実

まずは現実を知ることから始めましょう。厚生労働省「職業安定業務統計」および福祉人材センター調査によると、介護業界の有効求人倍率は全国平均で訪問介護13倍、デイサービス5.5倍、特養4倍とどのサービスも人材確保が極めて困難な状況です。

北海道でも訪問介護6.5倍、デイサービス3.2倍と高い水準が続いています。さらに札幌市に求人が集中(全体の50%以上)しており、地方部では施設数自体が限られているため、採用のミスマッチが起きやすい状況にあります。(北海道労働局統計)

北海道の介護職 有効求人倍率(サービス種別別)

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北海道の特徴

・札幌市に求人が集中(全体の約50%以上)
・高齢化率は全国平均を上回る(約31.8%)
・訪問介護・通所介護の求人が増加傾向
・契約社員・パート求人も多く、柔軟な働き方が可能
北海道では、特に地方部での人材確保が難しく、求人倍率は地域によってばらつきがあります。札幌市や旭川市など都市部では求人が豊富ですが、道東・道北では施設数が限られ、採用難易度が高まっています。

求職者の仕事探しも大きく変化し、現在はAIが個人の属性や検索履歴を分析して最適な求人を表示する時代となり、求職者は待っているだけでおすすめの求人情報が届く環境になりました。

成功のカギは「求人手法の組み合わせ」と「地域密着」!

現在、介護事業所で使われている主な求人方法は、複数回答ありでおおよそ以下のような割合と言われています。
●ハローワーク・福祉人材センター(約45%)
●求人検索エンジン(約30%)
●介護専門求人サイト(約20%)
●人材紹介会社(約10%)
●自社サイト・SNS活用(約15%)
●地域広報・チラシ(約10%)
効果的な採用を行っている事業所では、これらを単独で使うのではなく、事業所の特性やターゲットに合わせ、組み合わせることで活用しています。

また、現在の求職者の多くは、複数の媒体を見比べて応募先を決めています。そのため、どこで見られても一貫した魅力的な情報を発信することが重要です。
特に介護業界では「近くで働きたい」というニーズが強いため、地域密着の情報発信と、ネット上での幅広い露出を組み合わせることで、より多くの求職者にリーチできます。

【事例】求人原稿の「作り込み」で応募率が劇的改善

効果的な求人原稿の作成により、応募単価を大幅に改善できることが分かってきています。例えば、一般的な求人ツールでの「正社員/介護/札幌市」での応募単価に比べ、当社のATS(採用管理ツール)である「ハピキタ」を使い、作り込みを加えた場合の単価はおよそ9分の1という結果が出たことも。採用コストをかなり抑えられていることが分かります。

実際に2カ月で2件の応募を獲得した特養老人ホームでの成功事例から、効果的な求人原稿作成のポイントを見てみましょう。

1. 職種名と写真で第一印象を決める
・職種名に施設形態を明記(「特別養護老人ホームの介護スタッフ」)
・装飾的な表現よりも分かりやすさを重視
・写真はスタッフの笑顔写真を使用して親しみやすさをアピール

2. 仕事内容は具体的に記載
・1日の流れを詳しく説明
・利用者数とスタッフ数を明記
・実働時間や休憩時間を明確に記載
・夜勤回数、希望休の取りやすさ、シフト作成頻度も重要な情報

3. 待遇面は金額まで詳細に
・各種手当の金額を具体的に記載(資格手当○○円、夜勤手当○○円など)
・社会保険の適用範囲を明記
・資格取得制度は実績人数も併記して信頼性をアップ

まとめ:求職者目線での情報提供が成功のカギ

採用成功の基本は「求職者が知りたい情報を、分かりやすく、具体的に提供する」ことです。特に介護業界では
●働く環境の具体的なイメージができる情報
●待遇面の透明性
●職場の雰囲気が伝わる写真や文章
●将来的なキャリアパスの明示
これらを意識した情報発信により、応募数の増加だけでなく、ミスマッチの減少も期待できます。まずは現在の求人内容を求職者目線で見直すところから始めてみましょう。

※この記事は2025年7月17日に開催したジョブキタオンライン勉強会「人材獲得の最新事例と成功のポイント」の内容を元に制作しています。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。