導入方法は?日本語は話せる?介護業界での外国人材採用のコツ
メルキタ介護
2025.05.08
人口減少が加速する日本。現在のペースが続くと単純計算で約17年後に日本人の赤ちゃんがゼロ人、さらに2272年ごろには日本が消滅するという衝撃的な推計もあります。実際にそこまで極端にはならないものの、あらゆる産業で人手不足は深刻化。そこで救世主とされているのが外国人材です。今回は実際の介護現場で支援を行ってきた経験を元に、外国人採用の始め方や雇用のポイント、定着のコツについてご紹介します。
日本語は入職前よりも入職「後」に解決
現場で外国人を雇用する際に、最も不安なのが「コミュニケーションが取れるか」「利用者と話せるか」という点ではないでしょうか。
現在、介護分野で働く外国人材の主流は在留資格「特定技能」制度によるもので、約4万人が日本各地で活躍しています。人材不足対応のために創設されたこの資格では、入国前に専門知識と日本語能力試験「N4」レベル以上の能力が求められます。「基本的な日本語を理解できるレベル」とされてはいますが、実際に日本で学んだことがないケースも数多くあります。
例えばある施設で働くミャンマー出身の方(21歳)は、最初はそれほど話せませんでしたが、1年間で施設側の受け入れ態勢とコミュニケーションの充実により日本語が上達。施設側が積極的に話しかけるような環境を作ることで、「間違った日本語を話しても直してもらえるし、怒られない」という安心感が生まれ、活発なコミュニケーションができるようになりました。また外国人と日本人の間の誤解を防ぎ、職場の調和を促進する交流の機会づくりも重要です。
支援機関選びで失敗しないための3つのポイント
外国人材受け入れで欠かせないのが「支援機関」の存在です。しかし、契約内容をよく確認せず、施設側が予想外の負担を強いられるケースも少なくありません。まずは契約内容が「全部委託」か「一部委託」か、「自社支援」かを確認しましょう。初めて外国人を採用する施設は、基本的に支援機関への「全部委託」が必要です。
空港へのお迎えや8時間のオリエンテーション、役所での住民登録、銀行口座開設、携帯電話の開通手続き、住宅設備の説明、初回の食品の買い物など、入管に提出する支援計画書通りにどちらが担当するのかを明確にしておくことが重要です。その上で、以下3つのポイントを確認しておきましょう。
1.実際に対応できる職員が北海道内にいるか
本社の場所よりも、北海道内(事業所のエリア)でフットワーク良く対応できる体制を持っているかが重要です。
2.母国語を話す職員がいるか
外国人スタッフが支援機関の社員として在籍していると、生活相談や問題解決がスムーズです。
3.送り出し機関は信頼できるか
母国側の「送り出し機関」の中には「日本に人を送れば報酬が得られる」というビジネス目的の考えのところも少なくありません。信頼できる機関かどうか確認しましょう。
離職防止は母国にいる段階から始まっている
令和4年11月時点のデータでは、特定技能外国人全体の離職率は16.1%、介護分野では10.6%でした。実は海外から直接来日した人より、国内で転職経験のある人のほうが離職率が高い傾向があります。
離職の理由としては「東京で働きたい」「違う業種に挑戦したい」などが挙げられますが、なかには最初から「とにかく日本に早く行きたいので介護を選んだ」という方もいます。こうしたケースでは、どんなに良い職場環境でも転職を防ぐのは難しいでしょう。母国にいる段階で、北海道の寒さや生活環境をきちんと伝えているか、介護業界で働く意欲があるか、しっかりと確認できるよう支援機関や送り出し機関と連携しましょう。
まとめ
外国人材の受け入れと定着に「特効薬」はありません。施設と支援機関が協力して一つひとつの課題に対応していくことが大切です。
◎コミュニケーションしやすい環境の整備
◎当事者目線での生活面のサポート
上記の実施で外国人材の採用、定着率向上と活躍の場の拡大につながるでしょう。
なお北海道アルバイト情報社では外国人材の採用支援に取り組んでおり、ミャンマー語、ベトナム語、中国語などが対応可能なスタッフによるきめ細やかなサービスも提供しています。外国人材の採用・定着でお悩みならぜひご相談ください。
※この記事は2025年3月19日に開催したジョブキタオンライン勉強会の内容を元に制作しています。

●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。