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【レポート】介護オンライン相互勉強会「運営指導マニュアル一部改正&新LIFEシステムについて」

メルキタ介護

2024.09.12

ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は8月22日(木)に行われた「運営指導マニュアル一部改正&新LIFEシステムについて」のレポートをお届けします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。

混同しやすい「指導」と「監査」の違い

2024年7月5日、厚生労働省老健局より各自治体や介護保険関係団体に向けて、運営指導マニュアルの一部改正が発表されました。主な内容は(1)指導の定義の変更(2)行政調査に基づく指導の明確化(3)介護サービスの実施状況指導の強化(4)運営指導の実施頻度の明確化です。
「特に注目したいのは(3)の実施状況指導の強化です。変更前は書類での確認でしたが、変更後は利用者が適切なサービスを受けているか、虐待が無いか等を、行政機関の担当者が実際に目視で確認。その上で、関係者から聴取する内容になりました。これまで、特に通所系サービス事業所では実施されてこなかったことですので留意が必要です」
また神内さんは今回の改正を機会に、混同されやすい「指導」と「監査」の違いを改めて確認してほしいと続けます。
「行政や機関が立ち入る機会をすべて『監査』と捉えている方が多いですが、図のように介護保険法第23・24条に基づくものは行政による『指導』であって処分行為はなく任意です。指導の中で不正等が認められた場合にのみ『監査』へと移行し、場合によっては行政処分が下されるという構造になっています」

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出典元:厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」より

新LIFE利用のため、忘れずに事前設定を

令和3年介護保険制度・報酬改定で新たな加算対象となったLIFE(科学的介護情報システム)、こちらも令和6年介護報酬改定に伴い、「新LIFE」として内容改定が決定。すでに2024年4月から7月末までの移行期間を終え、この期間に加算算定を行っていた場合のデータ提出期間(遡り入力対象期間)も10月10日までとなっています。それ以降の新システムについて、神内さんに解説してもらいました。
「まず登録方法や問い合わせ機能が簡易化、マニュアルが細分化されて利便性が高くなります。またアウトカム評価についても、褥瘡(床ずれ)の治癒を評価する項目が増える、新たに尿道カテーテル抜去の有無についての項目が増えるなど、細かな改定がされるようです。その他、入力・データ提出のタイミングやフィードバックの見直しも行われます」

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新LIFEを利用するためには、いくつかの設定が必要になるため事前に注意が必要と神内さん。
「新システムを利用するためには、国民健康保険団体連合会で提供する電子請求受付システム(介護)のID・パスワード、セキュリティ用のメールアドレスの設定がすべての介護施設・事業所で必要になります。それがないとログインできないので、移行にあたって忘れずに設定しておいてください」

「LIFE」の導入は利用者のため

勉強会の後半では、参加者から相談や質問が寄せられました。一例を紹介します。

Aさん:コロナ明けの影響か、行政指導が増えていると実感しています。1時間半くらいで終わることが大半で、「監査」ではないとはいえ毎回ドキドキしています。

神内さん:指導対象になりやすいのは令和3年報酬改定の部分。今一度見直して、要点であった介護方針を立てる、委員会をつくる、研修を実施してそれを見直す、責任者を置くという4つの点をそれぞれ整備しておきましょう。

Bさん:そもそも、LIFEって絶対に導入しなければならないのでしょうか。

神内さん:導入しないと介護報酬が加算されません。国から評価されないだけではなく、国民に情報提供をしない施設・事業所ということで包括的に評価が下がってしまいます。LIFEは、サービスを「見える化」することで、利用者さんの施設・事業所を選ぶための判断装置としての役割も担っています。今回の改定には未導入の訪問・居宅系事業所などにも積極的にLIFEを活用してほしいという意図があったと考えられるでしょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。