【レポート】介護オンライン相互勉強会「失敗は成功のもと!離職防止対策共有会」
メルキタ介護
2024.08.08
ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は6月19日(水)に行われた「失敗は成功のもと!離職防止対策共有会」のレポートをお届けします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
キャリアやプライベートの支援などさまざまな事例を発表
もはや業界を問わず課題になっている離職防止対策。今回は介護事業所であった失敗や対策についての事例発表を中心に行いました。
はじめに発表したのは、社会福祉法人中標津朋友会の犬伏施設長。近年は3、40代が理由も言わずに離職してしまうケースが続いたことから、全職員のキャリア面談を検討していると説明しました。
「一定のキャリアを積むと、仕事のミスマッチを感じたり、将来への不安を抱く職員が多いのではないでしょうか。面談では本人の『自分ができること』、法人からは『法人が期待すること』、そして『今後の目標』を明確化。しっかりと拾い上げて、3年後、5年後を本人と共に考えていきたいと思っています」
次にプライベート面を支援した事例を発表したのは、株式会社ファミリーケアサポートの工藤常務。同社では昨年から先輩がプライベートも含めた面倒を見る「B&S制度」「アンクルアント制度」を設けて、試験的に実施したのだそう。
「ある若手職員の退職を機に、1on1面談ではプライベートな悩みをヒアリングできていないことに気付いたんです。そこで設けたのが前述の制度で、『B&S制度』が新入職員のお兄ちゃん、お姉ちゃん役の職員をつけ、プライベートまで気軽に話せる相談制度。さらにその上に叔父さん、叔母さん役を付けたのが『アンクルアント制度』です。新卒の職員に対して1年間、『仕事どう?』などの声かけを積極的に行い、その結果をレポートしてもらいました」
結果として離職を完全に防げた訳ではないものの、職員全体が教育に関する意識や関心が高まり、責任感の醸成にもつながったと続けます。
「一番感激したのが、経営方針発表会で新人の子がブラザー・シスターへの感謝のスピーチをしてくれたこと。今後も改善をしながら、中途採用にもこの制度を取り入れていきたいと考えています」
職員へのサポート不足が大量離職や信用低下に直結
コンサルタントとして長年、介護福祉業界へ助言を行っている神内さんは、実話を元に5つの事例を挙げました。
「いずれもどの事業所でも起こりうるもので、いち職員の離職が大量離職を招いたり、組織全体の信用度を下げることにつながったりするケースも見られる」と、神内さんは警鐘を鳴らします。
(1)人事評価基準が曖昧で不備があること、評価の公平性が保たれていない
(2)上司の度を超えた厳しい態度と、それによる人間関係の悪化
(3)不適切な育成計画と周囲のサポート不足
(4)待遇の悪さ、昇給や賞与の不明瞭さによる不満
(5)組織の経営理念と現場の運営方針との乖離
以下の二つは具体的な事例です。
「いずれの例も、わかりやすく事例化してはいますが実話であり、どの事業所でも起こりうる話ですよね。本日発表のあった事例のように、多角的な面から職員のサポートに取り組んでみてください」
以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。