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履歴書の保管期間を知っていますか?

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2024.09.17

mailkita_0917_title.jpg履歴書は個人情報の塊とも言える重要書類。取り扱いには細心の注意が必要です。企業が守るべき法律や、実務上のメリットを踏まえた適切な保管期間と方法について、詳しく解説していきます。

そもそも履歴書の保管は必要?

履歴書の保管は法律によって義務付けられ、労働基準法第109条において、

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に
関する重要な書類を5年間保存しなければならない

と定められています。

2020年4月1日付で施行された改正労働基準法のリーフレットでも、保管が必要な書類の「雇入れに関する書類」の例に履歴書が挙げられています。

(1)労働者名簿
(2)賃金台帳
(3)雇入れに関する書類:雇入決定関係書類、契約書、労働条件通知書、履歴書 など
(4)解雇に関する書類:解雇決定関係書類、予告手当または退職手当の領収書 など
(5)災害補償に関する書類:診断書、補償の支払、領収関係書類 など
(6)賃金に関する書類:賃金決定関係書類、昇給減給関係書類など
(7)その他の労働関係に関する重要な書類:出勤簿、タイムカードなど
(8)労働基準法施行規則・労働時間等設定改善法施行規則で保存期間が定められている記録

(引用:労働基準法の一部を改正する法律について|厚生労働省)

なお、労働基準法にある「5年間」の起算点は、退職や死亡などにより雇用関係が解消された日となります。また、この法律は在職中の社員に対してのみ適用され、不採用者の履歴書については保管義務はありません。

どうやって保管する?保管期間は?

履歴書を保管する際は、紙媒体と電子データのそれぞれについて、適切な管理が求められます。

紙媒体での保管方法

◉不特定の社員が簡単に閲覧できないよう、鍵付きのキャビネットなどに保管
◉他の雇用関係書類と共に社員ごとにファイリング

社員ごとにファイリングする理由は、雇用契約書などの書類とまとめて管理でき、退職した場合にファイルごと抜き出せば良いなどのメリットがあるためです。

電子データでの保管方法

◉パスワードによるアクセス制限やファイヤーウォールでセキュリティを強化
◉信頼性の高い採用管理システムやオンライン履歴書保管システムを利用する
◉定期的なバックアップを忘れずに行う

紙で受け取った履歴書も電子化することで保管場所を用意する必要がなくなり、検索性も高まります。

履歴書の保管期間は、対象者の状況によって異なります。

在職中の社員:雇用継続中は保管し続ける必要があります。つまり、採用時から退職するまでの間、保管義務があります。
退職した社員:退職後5年間(ただし、当面の間は3年間)保管する必要があります。これは2020年の労働基準法改正によるもので、以前は3年間とされていました。
不採用者:法律上の保管義務はありません。ただし、多くの企業では一定期間(半年から1年程度)保管する傾向にあります。

不採用者の履歴書については、法律上の返却義務はないものの返却を希望する求職者が多いのが実情です。そのため不採用者の書類管理についてはしっかりとしたルールを設け、例えば、不採用者の履歴書は返却せず廃棄する旨を事前に通知する、あるいは、必ず返送して社内に個人情報を保管しないなどの対応が求められます。

履歴書を廃棄する時は?

履歴書を廃棄する際は、個人情報保護の観点から以下のような方法を取る必要があります。

◉シュレッダーで細かく裁断する
◉焼却処分する
◉専門の業者に依頼する(信頼できる業者を選ぶことが重要)

他の書類と同じようにゴミとして捨てることは避け、個人情報が第三者の手に渡るリスクを最小限に抑えることが重要です。電子データの場合も、完全に削除されたことを確認する必要があります。ゴミ箱を空にするだけでは不十分で、データ消去ソフトを使用するなど、確実な方法で消去しましょう。

最後に

個人情報の取り扱いが注目される昨今、履歴書が従業員や応募者とのトラブルのきっかけになる可能性は小さくありません。また、適切な履歴書の管理を行うことで、法令順守の姿勢を示すとともに、求職者からの信頼も得られ、企業のイメージアップも期待できます。