新卒採用が好調!その秘けつとは?【社会福祉法人北海道ハピニス】
メルキタ介護
2021.09.14
介護業界は新卒採用が難しいといわれ、北海道でも一歩を踏み出せずにいる企業も少なくありません。一方の中途採用は即戦力を確保できますが、組織の若返りに後れをとってしまうなどのデメリットも潜んでいます。そこで今回は、新卒採用が好調の社会福祉法人北海道ハピニスで人事担当も務める常務理事の平松朋紀さんに、その秘訣を伺いました。
Q. 新卒採用に乗り出したのはいつからですか?
「かなり以前から新卒採用にはコンスタントに取り組んでいます。ただ、平成12年に介護保険制度が創設され、介護報酬が下がったことをきっかけに、業界の経営環境や待遇面がガラリと変わりました。同時にメディアでもイメージを悪化させるような報道が多くなったため、しばらくは新卒が確保しにくくなった冬の時代が続いたと思います」
Q. その状況をどう打破しましたか?
「10年ほど前から進んでいる上層部の世代交代で、30〜40代の若い世代が役職者に昇格しました。その際、新卒の人材をしっかりと育てて定着させようという意識がさらに高まりました。具体的な取り組みとしては、福祉系の大学や専門学校から受け入れる実習生への関わり方を変えたこと。かつては介護の大変な部分ばかり見せて入社後のギャップを防ごうとしていましたが、今は地域貢献や自己実現ができる仕事としての価値を伝えるようにしています」
Q. 効果のほどはいかがでしたか?
「受け入れた実習生が学校に戻り、周りの友人や後輩に当法人の施設について話してくれることが多いようです。『しっかりと指導してくれた』『社会に必要とされる仕事』というプラスの話題からイメージが変わり、応募につながるという好循環が続いています」
Q. 他にも新卒採用で活用しているものは?
「ここ数年は北海道の新卒に特化した『ジョブキタ就活』も利用しています。大手就活サイトからも打診はありましたが、全国の人材を奪い合うよりも、地域密着でターゲットを絞ったほうが効果的だと思いました。実習生とは異なる層、つまりもともと介護に興味がなかった学生にリーチできるのも有効ですね」
Q. 新卒の求人で心がけていることは?
「以前は多くの応募に重きを置くあまり、間口を広げる傾向にありましたが、結果として大半が不採用になることも。最近は働いてほしい人を明確に決め、マッチング精度を高める方向へシフトしました。例えば、利用者様の自立支援を実現するための手段『おむつゼロ』を大きく打ち出すなど、法人の経営やケアの方針に共感してくれる新卒を採用することで、結果として定着率も高くなっています」
Q. なるほど。学生は他にどんなことに共感していますか?
「最近の学生さんは仕事に対する意識が高い人が多い印象です。目の前の利用者様をケアする先には、地域社会を支え、日本の福祉の一翼を担えるというような社会的役割を伝えると心が動いている気がします」
Q. 面接のポイントは?
「知識や資格ではなく、人の目を見て話せるといった基本の部分を見ています。他には、組織の一員としてどう活躍したいのかというビジョンを持っているかどうかも重要です。逆に私からは定年退職するまで責任を持つという意思を伝え、仮にご両親が不安を抱えている場合、施設を見学してもらいながら職場環境を説明するといった安心材料を与えています」
Q. 学生の心を離さないために取り組んでいることは?
「受け入れた実習生でいえば、一人ひとりに感謝の言葉を連ねたお礼状を書くようにしています。内定通知に関しても、全員に期待を込めてお手紙を送るスタイルです。もちろん、一通一通の内容は異なるので手間ひまはかかりますが、こまめな気づかいが心に響く時代なのではないかと思っています」
Q. 今後の展望はありますか?
「当法人だけでなく、福祉業界全体で人材を確保することが急務。最近は、横のつながりを生かして7つの福祉・介護法人の新入職員が座談会を開く様子をリモートで配信しました。今後も、人材を確保するために業界内の協力体制を強めていきたいと考えています」
社会福祉法人北海道ハピニス
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