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【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会 「LIFE利活用」

メルキタ介護

2021.11.09

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『介護事業所向けLIFEの利活用オンライン勉強会』が8月19日(木)と9月16日(木)の2日間、開催されました。令和3年介護保険制度・報酬改定で新たな加算対象となった「LIFE」の利活用は、介護業界が目指すICT化への布石となる政策で、近い将来には義務化されると予想されています。

kamiuchi.jpg●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
北海道社会福祉士会会長を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上に取り組んでいます。

「LIFE」利活用化にある背景とは

LIFEとは「科学的介護情報システム(Long-team care Information system For Evidence)」の略称。今回の報酬改定が目指す目標の一つ「⾃⽴⽀援・重度化防⽌の取り組みの推進」の方法として推奨されています。

LIFEは各事業所が利用者の情報やケアプランをインターネット上で入力する事で、収集した情報を政府が統計し、その解析結果が事業所にフィードバックされるというシステムです。

そもそもの背景を解説しますと、医療分野では1990年代以降から「エビデンスに基づいた医療」が行われてきました。一方、「治療」ではなく「生活」を目的とする介護は、ある程度のケアプランがあるとはいえ、各々の事業者の主観で判断されているのが現状でした。

また、介護保険制度の成立以降、介護の目的は「お世話型」として、利用者の生活支援に取り組んできました。しかしこれからは利用者の「尊厳の保持・自立・重度化防止」と、より自立を促す形となり、そのあり方も国主体ではなく国民が共生して行うという方向性へシフトしていきます(=図1)。日本は「介護先進国」を目指し、LIFEで収集されたデータを国民に掲示し、国民が一帯となり介護に取り組む構想を考えているのです。

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既存のPDCAを客観化するのがLIFE

例えば、歩行が困難な利用者がいたとして、現状のケアプランをLIFEを使い入力します。その後、同様のケースと比較して、「週3回の運動でのAOL上昇が見られる」「こういう食事で改善が見られる」といった最適なリハビリ方法がフィードバックされます。

そもそも事業所は日常的にケアマネージャーが作ったマスタープラン(ケアプラン)に沿って、PDCAを回しています(=図2)。いま述べたような、過去の実施記録に沿うようなプランの立て方は、これまでもアナログで行ってきた事なんです。

とはいえ、これまで過去の膨大な記録まで振り返ってケアプランを立てている事業者がどの程度いるかと聞かれると、疑問符が付くのが正直なところ。

LIFEが重要なのは、膨大な情報から導き出した「客観データ」が得られ、更に全国の事業所で何が行われているが、「見える化」される事にあるのです。

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義務化とケア品質向上に向けて、今から活用を

LIFEはまだデータを収集している段階、つまりまだ生まれたての赤ちゃんのため、今すぐ活用したからと言って確実なフィードバックを得ることはできません。充分なデータ量が蓄積し、客観的な方針が得られるには、この先5年から10年かかると予測されています。

ただし、現状でも収集したデータを数字として見る事は可能です。重要なのは、ケア品質の向上はこれまでと変わらず、各事業者の責務であるという事。

2024年の介護報酬改定では、LIFEが義務化されると予想されています。将来を見据えると共に、ケア品質向上のためにもぜひ活用してください。


参加者との意見交換では、次のような討論や質疑応答が行われました。一部を紹介します。


参加者A:報酬の対象となっていない訪問系の事業所なのですが、利用は可能ですか?

神内さん:現在は訪問介護、訪問看護、居宅介護支援に報酬加算は設けてありませんが、利用そのものは可能です。日頃のケア改善のため、また2024年に向けて今から利用するに越した事はありません。

参加者B:毎月出すのに手間がかかりそうですが...

神内さん:毎日のルーティンで少しずつ入力したり、毎月決めた日にまとめて提出するなど、ある程度のスケジュール調整が必要となります。また普段記録に使っているシステムをLIFEと連携したい、専用タブレットを導入したいという希望があれば、ICT導入支援制度等を使うのも一つの手です。

参加者C:事業所内では「まだ急がないでいい」という風潮となっています。しかし利用者の情報を送るだけで報酬加算があるならやろうと思っているのですが...。

神内さん:一点注意して頂きたいのは「送るだけ」ではなく、送って、フィードバックを利用しなければ加算はありません。また義務化されるまで取り組んでいないと、後で慌てる結果となるでしょう。先ほど述べたように、介護の質向上は各々の事業者の義務であることを踏まえて、利用を検討してください。

参加者D:これまで2回提出し、1回目についてはフィードバックがありました。早速、ケアプランの作成や利用者家族との面談の際に結果を見せてみました。

神内さん:LIFEは利用者とその家族へ、事業所が取り組んでいるケアプランに納得してもらうための判断材料としても充分に活用できますね。自分たちのためでなく利用者とその家族のためにも、いち早く取り組んでいる姿はとても良い事だと思います。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。