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【レポート】介護事業所向けハラスメント対策相互勉強会

メルキタ介護

2021.05.11

4月15日(木)、「介護事業所向けハラスメント対策相互勉強会」をオンラインで開催し、14名が参加しました。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介代表。今回は令和3年介護保険制度・報酬改定で義務付けられた「ハラスメント対策の強化」を議題に対策のポイントを解説。当日の様子をレポートします。

kamiuchi.jpg●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
北海道社会福祉士会会長を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上に取り組んでいます。

ケガや病気、離職にもつながる介護現場のハラスメント

神内さんはまず、厚生労働省の発表を基に改定の項目をおさらいした上で、ハラスメント対策が運営基準に設けられた背景を解説します。

「一般的に認知されているハラスメントとは、職場内でのセクハラ、パワハラ、出産・育児休業や介護休業に対する嫌がらせが該当します。しかし福祉の現場では、職員同士だけでなく利用者からの暴行やセクハラ、利用者家族からの暴言などが発生しやすいのが特徴です」

平成30年度、厚生労働省が介護事業所を対象に利用者やその家族からハラスメントを受けた経験があるか調査をしたところ、利用者からが4〜7割、利用者家族からは1〜3割と、大きな割合が見られました。さらに、ハラスメントが原因でケガや病気になった職員は1〜2割、退職を考えたことのある職員は2〜4割と、人材不足と言われる介護業界で重大な影響を及ぼしていると言えます。

コンサルタントとして数々の福祉現場を見てきた神内さんは「ハラスメント発生後の対応は講じていても、予防については見落としているケースが多く見られています。職員を守り、離職を減らすためには、とにかくハラスメントの発生を防ぐ、そして発生した時も被害を最小限に留めるのが重要です」と指摘します。

ガイドラインをフル活用し予防と対策に取り組もう

厚生労働省のガイドラインには「基本方針の職員、利用者及び家族等への周知」が挙げられています。具体的にはどんな行動が求められるのでしょうか。

「事業所がハラスメントに対してどのような考えを持ち、どのように対応するのかが基本方針。そして周知とは、ポスターを一枚貼って終わりではなく、『複数の機会に複数の方法で知らせること』であると覚えてください。ポスターの掲示、書類の配布、利用者へ契約時の説明など、さまざまなアプローチから繰り返し発信を行うのが最善策です」。

次に挙げられているのが、利用者と利用者家族、職員からの「相談に対する体制の整備」。

「現在はハラスメントの相談窓口が一人しかいない事業所が多く見られます。心理的な負担が増えないよう、担当者を一人にせず、必ずチーム、グループで担うのがポイントです。その上で、相談内容の解決方法を職員全員で考えることや、ハラスメント対策について定期的に話せる場を設けるのが解決につながるでしょう」

日ごろからの関係構築がハラスメントを防ぐコツ

神内さんは、最後に普段からできる対策について解説しました。

「利用者が日ごろからサービスに対して不満を抱えていたり、利用者と職員との距離が近すぎたりすることも、ハラスメントの一因となります。そのために、日々起きた出来事やハラスメント一歩手前の事案、いわゆる"ヒヤリハット"を集めておくことも大切です」。

また、行政や地域包括支援センター、警察、医師など地域との関係強化を行っておくことも大切だと話しました。「ハラスメント対策として組織体制を整えておけば、他の問題が生じた時の対応に必ず役立つでしょう。何より、働く環境やサービスの改善、そして組織体制の強化へとつながるはずです」

神内さんのお話の後は、参加者同士で現状の取り組みやハラスメント対策についての意見などの発表も行われました。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。