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【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「方針の共有と浸透について」

メルキタ介護

2022.08.09

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介護業界における課題解決を目指してジョブキタが開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回のテーマは人材採用や定着につながる「方針の共有と浸透について」。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。

帰属意識が定着につながる

経営理念や価値観が、採用にとっての根幹となると解説する神内さん。次の項目のうち、1つでも当てはまる事業所は注意が必要だと説明します。

1. 経営理念や仕事の意義を従業員に伝えきれていない。求職者にも自社の魅力をPRできていない
2. 職場階層が業務実態と合っていない(年功序列)等、能力と役割・処遇の整合性が取れていない
3. 限られた時間に業務が終えられない等、自己管理のあり方や業務に対する姿勢に問題のある従業員がいる
4. 管理者が従業員に役割を伝えられない、成長の認め方が分からない等、やりがいを感じてもらうための行動に不安がある
5. 管理者、経営者が従業員と接する機会が少なく、互いの考えを理解しているか不安がある

「以上の事業所には、従業員が会社への帰属意識、連帯感を持てていない事が離職の背景となっている事がありえます。まずは理念をしっかりと浸透させる事が、より良いサービス、そして組織文化の形成につながります」
そのためには、まずはリーダーポストを作ることが必要だと解説します。
組織文化はチームで共有する信念や価値観、行動規範の結果です。経営陣などのリーダーとなる者の考え方が大きな影響力を持ちます。まずはリーダーポストを選出し、チームにメッセージを伝える所からはじめましょう」


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行動指針をつくるための2つのポイント

次にリーダーがどのように経営理念を浸透させるか、または定めるかについて、神内さんは次の方法を提案します。

①経営理念や目指す目標が明確であれば、従業員全員が暗記する。
②経営理念を定めていない場合は、従業員の良い行動を収集する。

「特に②は『理念』という言葉ではなく、初めから明確な行動、つまり組織文化や行動指針を伴う形につながるのでオススメです」
さらに、行動指針をマニュアル化することがサービス品質の向上にもつながると説きます。
「介護サービスは利用者の個別事情に対応するという性質上、ファストフード店のようにサービスのマニュアル化がしにくい業態。しかし例えば利用者さんを呼ぶ時は、苗字に『さん』付けにするなどルールを定め、それに加えて優秀な従業員の行動を取り入れることでマニュアル化が可能です。優れたマニュアルは最終的に、サービス品質や顧客満足度の向上につながります」

経営理念の必要性を従業員に理解してもらうには?

後半のディスカッションでは、参加者それぞれの体験談を交えての相談や質問が行われました。その一部を紹介します。

参加者A:経営理念を入職時に暗記させ、朝礼等でも暗唱の機会を設けています。しかし理念の意味を理解していない人、実践につながっていない従業員が多くいるのが実情です。理念の必要性をどう伝えたら良いでしょうか?

神内さん:理念への理解は人事評価の基準であると伝えると、従業員一人ひとりが自分ごととして捉えるようになります。

参加者B:事業所の設立時に従業員皆で理念を作りあげた結果、より良いサービスを考える良い機会になった事を覚えています。

神内さん:理念という結果だけでなく、作りあげるまでもプロセスも重要ですね。皆で組織作りに参画する大変良い事だと思います。

参加者C:以前は理念はあるが浸透していない状態でした。しかし今年6月に新しいミッションを掲げた所、皆が覚えようとしています。

神内さん:時代に合わせてアップデートする、定期的に変化させるという試みも、従業員一人ひとりが考える良い機会になりそうですね。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のため、介護経営のコンサルタントとして、講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。