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【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「人と組織が育つ評価制度の整え方」

メルキタ介護

2022.07.07

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介護業界における課題解決を目指してジョブキタが開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は人や組織が育つ人事評価制度について。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さん。

何のため、誰のための人事評価か

神内さんは、そもそも人事評価とは何のため、誰のためであるかの原点に立ち返り、明確にしておくことが組織改善のヒントにつながると説明します。

「人事評価制度は、実力主義であるアメリカが始めたシステムで、『組織のため』を第一にしています。しかし昨今は労働人口が減少しているため『職員のため』を優先し、再構築しなければなりません」

その際の注意点としているのが「組織が理想とする職員像」と神内さん。組織のビジョン達成のために、どのような人材が必要かを検討する必要があると話します。

「介護業界では目指す目標やビジョンを定めていない事業所が数多くあります。向かう先がおろそかであると、そもそも職員は何を基準に動けば良いのかわかりません。人事評価制度の策定は先延ばしにしても構いませんので、まずは組織の目標と、それを達成するために必要な理想の職員像を決めましょう」。


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人事考課の3つのポイント

次に効果的な人事考課(査定)の方法を解説した神内さん。必要なポイントとして、以下3点を説明しました。

1.公平性と柔軟性のバランスが取れた評価
公平であることも必要だが、重視しすぎると膠着化しやすい。

2.相対評価ではなく、絶対評価
「Aさんに比べて優れている」のではなく、「Bができたら」という基準を設けること。

3.職員のステップアップを常に意識
人事考課は単なる昇給ではなく、職員が成長する手助けとなることが前提。

神内さんは「全社員、スタッフに公平で満足のいく評価を行うのは現実的には難しい」と言いつつ、目指す人事考課について次のように解説します。

「大切なことは職員がモチベーション高く前向きに業務を行える環境にすること。そのためには職員の『良い部分』を評価し、悪い部分ではなく『課題』をすり合わせる事が必要です。個々人が目指すべき目標をクリアにすることで、職員がよりポジティブに業務に取り組めるでしょう」

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昇給と評価は別という考え方も

後半のディスカッションでは、参加者それぞれの体験談を交えての相談や質問が行われました。その一部を紹介します。

参加者A:それなりの勤続年数に達した人や役職者が積極的に働いていないケースに悩んでいます。一度昇給した人の給与を下げたり、降格させたりするのは現実的に難しいのでしょうか。

神内さん:積極的に働かない役職者は、旧来の年功序列が残っている組織で発生しやすい傾向にあり、業務内容ではなく長く働いていることそのものを妄信的に評価している場合があります。特に介護業界は役所的な意識でいる事業所も多いのが現状です。そのような組織では人事評価というよりは、組織全体を見直すきっかけになるでしょう。

参加者B:職員の成長促進のために評価の機会を多く用意し、細分化しているのですが、ハードルを下げた分だけ簡単に給与が上がってしまいます。昇給と評価は別という捉え方でも良いのでしょうか。

神内さん:評価と昇給を別としている企業も多くあります。大切なのは対象者と、会社が目指す職員像のすり合わせ。そしてポジティブに働けているかが大切です。

参加者C:職員が楽しむ、業績が上がる、給与が上がるという3つのサイクルを大切に職員の管理を行っています。代表という立場になって、ナンバー2、ナンバー3をつくることの重要さも感じるようになりました。

神内さん:早い内から階段状に組織をつくることは大切です。一方で会社の中枢となる人材づくりは、一般的な評価と異なる方法が必要となりますので、今後そちらを解説する機会も設けたいと考えています。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のため、介護経営のコンサルタントとして、講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。