【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「主婦層活用の場と機会を増やす」
メルキタ介護
2022.09.02
介護業界における課題解決を目指してジョブキタが開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回のテーマは人材不足を解消するための「主婦層活用の場と機会を増やす」。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
規制緩和された主婦の雇用。その注意点とは?
人材不足の解消方法として、主婦の採用が注目されています。その背景にあるのが令和3年4月度介護報酬改定で示された「人員配置基準の緩和」。出産、育児、親族の介護等にあたる職員を配置基準の「常勤」として換算しやすくなった事により、これまでより主婦層が活用できるようになりました。一方で、その採用には注意点もあると神内さんは解説します。
「主婦の中には『将来は正社員に』という人もいれば、『子どもが大きくなるまで扶養内で働きたい』という方もいます。本人の希望する働き方をあらかじめ聞き、管理側や他の職員とのミスマッチを生まない事が大切です」
「シフトの融通」や「無資格の仕事」が採用のヒント
神内さんに続いて、北海道アルバイト情報社の就活イベント等を担当するスタッフが登壇。主婦向け求人サイト「しゅふきた」や、主婦向け合同企業説明会での事例を元に、募集の際に気を付けたい点について解説しました。まずは年代別の働き方について「それぞれのライフステージに合った働き方を職場側が理解しましょう」と前置きし、4つの属性を紹介しました。
次に、主婦を対象に行ったアンケートの結果も紹介。
働く上で重視するポイントとして「主婦にとっての『シフトの融通』とは『子どもの発熱に対応してくれるか』。急な休みも受け入れる事を求人で丁寧に示す事が採用に繋がります」と解説。
また介護職で働く意志があるかの調査では、「条件が合えば働きたい」「簡単な仕事なら検討したい」との回答がそれぞれ25%近くを占める結果に。一方で働きたくないと回答した主婦の多くは、介護=時給が低くハードという、かつてのイメージや、「無資格では働けない」と勘違いしている人も多いと説明します。
「主婦の方々はマジメで、心配性の方が非常に多い。例えば求人に『未経験歓迎』と書かれていても『経験者優遇』と併記されていると応募をためらう傾向にあります。一般の求職者よりも、より具体的に、より丁寧に説明してあげる事を心掛けましょう」
最後に、ある企業の人事担当者が「出産や育児は素晴らしいキャリア。主婦のブランクは、ブランクではありません」と話していたエピソードを紹介し、「企業がこうした姿勢で主婦の方を受け入れる事が何よりも大切です」と締めくくりました。
有資格者よりも、無資格職員を増やす
ディスカッションでは、参加者それぞれの体験談を交えての相談や質問が行われました。その一部を紹介します。
参加者A:かつて介護士資格を取得したものの、現在は離職している方も多いと思います。そうした方を多く採用するためにはどのような手段があるでしょうか?
神内さん:有資格者の採用は簡単に人材不足を解消する手段に思えますが、一度この仕事を嫌になってしまった人を復帰させるのは難しいです。無資格者の採用に力を注ぐほうが近道ではないでしょうか。
参加者B:現在、主婦を多く活用していますが、短時間のシフトが多いため研修や教育の時間が割けない事に悩んでいます。
神内さん:対面だけにこだわらず、動画マニュアルなどを活用しましょう。
他の参加者からも「子育て手当を設けた」「保育園からの電話を会社で受けるようにし、従業員みんなが主婦を支援するようにした」といった好事例も報告されました。
以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のため、介護経営のコンサルタントとして、講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。