メルキタMailkita

【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「職場の人間関係を良好に保つには」

メルキタ介護

2022.06.27

kankei_title.png

介護業界における課題解決を目指してジョブキタが開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回のテーマは誰もが悩む職場の人間関係について、ルールづくりやコミュニケーション方法などを語りました。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さん。

一般企業と同様にマナー研修やルールづくりが必要

どんな職場でも人間関係の悩みはつきもの。コンサルタントとして数々の現場に入った経験を持つ神内さんは「介護や医療の現場では特にトラブルが発生しやすい」と話し、その理由について次のように述べます。

「医療や介護は技術の提供によって成り立っています。言わば良い介護技術や看護技術さえあれば仕事がどうにかなるという職業です。しかし社会人としてのマナーやルールを知らずに形成された組織は脆く、些細な事がきっかけで不安定な状況になってしまいます。一般企業が新卒に社会人としてのマナーを教えるのと同じように、介護現場も基本ルールを教えて組織の土台づくりをしっかりとしておくべきです」

【組織に必要なルール】
一般企業ではコミュニケーションとビジネスマナーについて新卒入社時に研修する。「できるまで現場に立たせない」という方針の職場もある。
kankei2.jpg

コミュニケーションは、受け手が理解して成立する

神内さんが経験上最もトラブルの原因になりうると考えるのが、相手のタイプに合わせずコミュニケーションを取ってしまうこと。人間には大きく4つのタイプがあり、それぞれに合った話し方や態度があると説明します。

タイプ  各タイプが相手の話し方・態度に期待していること
A 理性的 ・数値・事実に基づいた情報を伝えること
・コンパクトで論理的な説明を行うこと
・効率を意識した仕事を行うこと
B 堅実的 ・順序立てた説明を行うこと
・綿密に検討された計画・段取りであること
・手順通りに作業を行うこと
C 感覚的 ・人の気持ちを大切にすること
・雑談や個人的な付き合いを大切にすること
・相手や周囲の感情を大切にすること(褒める・たたえること)
D 冒険的 ・コンセプトや全体像が示されていること
・前例にとらわれず、新しいチャレンジがあること
・新しさや面白さ、ユーモアがあること

タイプを合わせないコミュニケーションは「右利きの人に左利きの仕事をさせるようなもの」と神内さん。「マネジメントの父」ことピーター・ドラッカーの著書を参考(※)に、次のように説きました。

コミュニケーションを成立させるのは話し手ではなく、受け手です。哲学者ソクラテスが『大工に話すときは大工の言葉で伝えよ』と説いたように、受け手に伝わる言葉を使わなければそもそも成立しないということを心がけましょう」
※参考:P.F.ドラッカー著、上田惇生編訳「ドラッカー名言集 仕事の哲学」ダイヤモンド社

個人間のトラブルととらえず、組織として対策を

後半のディスカッションでは、参加者それぞれの体験談を交えての相談や質問が行われました。その一部を紹介します。

参加者A:この数年は転職や引き抜きにより退職する職員が多く、その理由が人間関係という人も少なくありません。人材確保という面でも、これからより力を入れて雰囲気の良い職場づくりを心がけなければと感じています。

神内さん:介護福祉業界では個々人が利用者に対するコミュニケーションを重視するあまり、チームや会社としての意識がないがしろにされる傾向にあります。人材不足解消のためにも、職員同士のトラブルは個人間の問題ではなく、職場が解決すべきことであるということも念頭に置いてください。

参加者B:古くからいる役職者や管理者が現場に聞く耳を持たない事や、ルールを守ろうとしない時があり、新入職員以上に教育をしなければならないと感じる事があります。

神内さん:大きな事業所や古くからの法人では、特定の人がルールとなってしまう事も。こうなると人間関係だけでなく組織として危険です。若い人だけでなく学び直しができるよう定期的な勉強会などを開くこともお薦めします。

参加者C:10人ほどの職場ですが上は60代、下は20代と離れており、互いに尊重し合うよう会話を促しています。それでも年に一度は仲裁に入らなければならない事もあります。

参加者D:自分も管理側となってから、若い子と話す機会が減ってしまいました。私たち世代とはプライベートと仕事の捉え方も違い、コミュニケーションしにくいと思う時があります。

神内さん:世代で区切ってしまうのも誤解の原因となりえます。個々人がどんなタイプかを見せ合う機会を設け、互いの理解に繋げましょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
kamiuchi.jpg
●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のため、介護経営のコンサルタントとして、講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。