【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「おさえておきたい経験者採用後の育成ポイント」
メルキタ介護
2023.05.01
毎月、ジョブキタの主催で開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は4月21日(金)に行われた「おさえておきたい経験者採用後の育成ポイント」の様子をレポートします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
経験者採用のメリットとデメリット
少子高齢化が進行している昨今、人材不足に適応していくには新卒だけでなく経験者(中途)採用も強化していく必要があります。神内さんは自身のコンサルタント経験を元に、経験者採用のメリット、デメリットを紹介します。
・経験豊富な人材を採用できる
・時間やコストを削減できる
・職場環境の改善ができる
【デメリット】
・異業種からの転職者の場合、業務内容に適合しない場合がある
・人間関係のトラブルが発生することがある
・技能や知識を持たない中途経験者の場合、研修期間が必要な場合がある
「デメリットを払拭し定着につなげるためには、しっかりとした研修を用意する、組織全体で歓迎の意志を示す、目標を設定するなど、さまざまな対策を講じる必要があります。『経験者だから』と本人まかせで放置せず、きちんと対応することが必要です」
経験者を「同じ船」に乗せるには?
新卒採用と違い、現場への配属が早い経験者にはスムーズに職場に馴染んでもらうための対策「オン・ボーディング」が必要になると神内さん。
続けて、上記のプロセスの中でも、採用者の経験上からくるクセや固定観念を捨てさせる「アンラーニング」がとても大切になると説きます。
「最も起こりがちなのが『前の会社ではこうだったのに!』と、無理に組織を変革しようとして軋轢を生むケース。こうしたトラブルを防ぐためには本人の能力をしっかりと認めた上で、組織に馴染むために一度、習慣や価値観をゼロにすることを理解してもらう必要があるでしょう」
「小さな船」で、良い波を生む。
勉強会の後半では、参加者から実体験を踏まえた感想が述べられました。一例を紹介します。
参加者A:経験が豊富な方や、役職者として採用した方ほど過去のやり方に固執するケースがあります。新卒のように一律で教育を行うのではなく、本人の能力や経歴に合った教育プランの組み立てが必要だと実感しました。
神内さん:企業側が優位だった時代は中途も一括で採用し、「大きな船」に強引に乗せていくケースが多かった。ただ売り手市場である現在では、不安な転職者に対して「小さな船」に乗せ、小回りを利かせていく必要があると思います。
参加者B:自分自身が最近転職し「郷に入っては郷に従え」のことわざを胸に、セーブしながら仕事をしています。一方で、前の職場と違いICT化が進んでいないなど、自分が取り組みたい課題も見え始め、提案方法を模索をしている最中です。
参加者C:同じく最近、役職者として転職をしました。特に管理者である場合は、転職者の投じた意見が良い波を生むか、波乱を生むかは紙一重。慎重に見極めなければと心しています。
神内さん:自分が転職者である場合は、守るべき所と変えていくべき所を上司や管理職としっかりと認識する必要があるでしょう。
以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。