【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「管理者の育成ポイント」
メルキタ介護
2023.06.09
ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は5月18日(木)に行われた「管理者の育成ポイント」の様子をレポートします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
管理者の育成に必要な7つのステップとは?
介護業界の人材不足が続く昨今、新規採用に力を注ぐ一方で見落としがちなのが管理者の育成です。
神内さんは「事業所種別によっては現場経験がなくても管理職になることができますが、現場を知らなければリーダーシップを発揮できません」と説明。その上で適正なリーダーを育成するためには、7つのステップを踏んで覚えていくことが重要だといいます。
「なかでも最も重要となるのが2番目の『管理業務の学習』。管理者には人事、労務管理、経営戦略、予算管理、法令遵守など幅広い分野の知識が求められますし、実際に目の前で問題が発生することもあるでしょう。しっかりと学ばなければ経営や法律違反にも関わるので、早めの段階で身につける必要があります」
社会の変化に追いつくためのスキルアップを
介護業界は関連する法律や、社会から求められることが常々変化しています。そのためには学び続け、継続的にスキルアップをしていく仕組みも必要です。
「介護報酬改定は当然のこと、業界の最新情報や他事業所の事例にアンテナを張っておくことが管理者としての成長につながります。業界新聞や専門誌のほか、定期的に研修やセミナーに参加しましょう。学んだことを共有したり、意見交換をしたりしてアウトプットをすることも組織全体のために有効です」
「たとえ管理者が育ったとしても、育成する仕組み、学び続ける環境が整っていなければ円滑な世代交代ができません。将来のためにも理想とする管理者像と、学習サイクルを用意しておきましょう」
育成のヒントは「人それぞれ」からの脱却
勉強会の後半では、参加者から実体験を踏まえた感想が述べられました。一例を紹介します。
参加者A:介護の世界は属人的(人による)要素が大きく、引き継ぎしにくいことを問題視しています。特に現場から管理者になると、総務、経理など事務的な部分でつまづく人が多い。管理者の「右腕」ポジションをつくり3年、4年をかけて育成していく必要を感じました。
神内さん:最低限2人以上でもルールを定めておくことで、組織的に取り組めるようになります。やや強引ではありますが、あらかじめ後継者を指名しておいたり、管理者候補として育成したりすることも必要です。
参加者B:従来通りの「調べてみて」では育成ができなくなっていると感じています。
参加者C:「分からなければ聞いて」も環境により有効ではないことも。聞きやすい環境をいかに作るかも大切ではないでしょうか。
神内さん:昨今は「調べて」「聞いて」だけでは漠然としていて分からないという若手も多いもの。「何をどこまで調べて」と明確なゴールを定めることが必要です。
以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。