【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「スタッフに辞められない管理者になるために」
メルキタ介護
2023.07.07
ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は6月22日(木)に行われた勉強会「スタッフに辞められない管理者になるために」のレポートをお届けします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
ダメ出し、暇なしアピール、アイデア却下...NG管理職の条件とは?
離職を防ぐ職場づくりのためには、チームをまとめる優秀なリーダーが必要です。一方、今回、神内さんが紹介するのは反面教師として知っておきたい「NG管理職」の例です。
(1)即断管理者
(2)職員吊し上げ管理者
(3)やる気下げ下げ管理者
(4)暇なしアピール管理者
(5)自分のアイデア押しつけ管理者
(6)自分がいないとダメだよね管理者
「一人の言うことだけ聞いてしまいがちな、即断管理者タイプ。トラブルの際に現れ、信頼関係を損なう吊し上げタイプ。『忙しい』を連呼しコミュニケーションを阻害してしまう暇なしアピールタイプ。反対に言えばこの6タイプに該当しない方は管理者として問題ないと言えるでしょう。チクリと来る方もいるかもしれませんが、自分が当てはまっていないか、ぜひチェックしてみてください」
管理者は「特別な存在」である自覚を。
次にそれぞれのタイプに応じた個別の対策を紹介。
「例えば『即断管理者』に必要なのは、客観的な視点を持てるよう自らで学習すること。『自分がいないとダメだよね管理者』には一人ひとりの強みを認識し、専門的な人材を育成して信頼するなど、対応する解決方法があります」
さらに、全タイプに共通する注意すべきポイントとして「管理者は特別な存在であると自覚すること」と、説きます。
「管理職は『偉いから』特別なわけではなく、組織をまとめるという専門的な役割があるからこそ、特別な存在となっています。組織を変えるためには、まずは自分が変わるという行動が必要。そして部下たちの意見を受け止めて、改善につなげていく。この循環こそが離職を防ぐ職場づくりにつながります」
「強いリーダー」よりも「柔軟なリーダー」を目指して。
勉強会の後半では、参加者から実体験を踏まえた感想が述べられました。一例を紹介します。
参加者A:自分が管理職になった当初、分からないあまり「アイデア押しつけ」と「自分がいないとダメ」を繰り返していました。その後、リーダー向けの講座や研修を受けて自覚。その経験から、他人との交流の中でしか気づけない面もあると実感しました。
参加者B:私も「笑ったところを見たことがない」と言われた時期がありました。今も無自覚にそうなっていないか、時々振り返りをするようにしています。
神内さん:少し前の時代はどの業界でも、組織を牽引する「強いリーダー像」が求められました。しかし人手不足となった昨今では、社会全体が多様性を尊重し、協調性を持ってチームづくりを行うリーダー像が求められています。時代と共に変化する柔軟性も管理職に必要な能力です。
参加者C:1年間で何十人と退職が相次いだ経験がありました。今回のセミナーを踏まえて何が悪かったかを痛感しています。
神内さん:離職率が高い職場に共通して言えるのは、会社としての軸がなく、管理職がそれぞれ別々な方角を向いてしまっていること。属人的な能力に依存せず、会社としてビジョンや理念を共有した上で管理するよう心がけましょう。
以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。