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【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会 「介護人材不足 緩和対策編」

メルキタ介護

2022.03.01

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今回のテーマは不足する人材に対し、正職員採用以外にどんな手立てができるかを検討します。講師は従来通りふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんに加えて、社会福祉法人栄和会の後藤英彰さんもゲストとして登場。採用実績を元に解説しました。

●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のため、介護経営のコンサルタントとして、講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。

社会福祉法人栄和会
1993年設立。「和を持って栄える」を合言葉に札幌市厚別区と清田区、乙部町で老人福祉・介護事業を展開。
公式サイト
法人本部 後藤英彰さん
特別養護老人ホーム生活相談員や居宅介護支援事業所相談員を経て1989年(平成19年)に社会福祉法人栄和会へ支援相談員として入職。介護老人保健施設あつべつ総務課を経て2020年から現職。

女性やシニアの積極採用、
アウトソーシングの活用で負担を軽減

高齢化社会により介護業界では今後、働き手は少なく、利用者は多くなる事が予想されています。採用のハードルは上がっていく一方で、まだまだやれる手立てはあると神内さん。その方法として「ITやアウトソーシングを使ってバックオフィス(事務作業)を効率化する」「労働条件や職場環境の改善」「外国人材の採用」など複数の例を掲示します。中でも「女性やシニアの積極採用」に関してはデータを例に「定年後も働きたいと思っている人は想像以上に多い」と解説し、さまざまな方法を検討するべきだとアドバイスしました。

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その仕事、専門職がやるべき?
業務軽減のヒントは「ケアアシスタント」

社会福祉法人栄和会の後藤さんは、無資格者をケアアシスタントとして採用した実例を紹介。同会では2014年から高齢者・障がい者の採用を開始し、現在は6名が就労しています。その経緯を「人材不足の解消、サービスの質や職員の待遇改善など、すべての解決に必然だった」と振り返ります。

「例えば、おやつの時間のリンゴの皮むきを介護士が行うべきでしょうか。多くの職員は専門業務よりも突発的に発生する『その都度業務』に追われがちです。まずは膨大な量の業務をリスト化し、アシスタントに振り分けました。実際の業務表を見るといかに専門外業務が多かったかが分かります」

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アシスタントを使って業務を分散した結果「介護士が専門業務に集中できる事でケア品質が向上。離職率も低下した」と話します。また「入居者にとっては自身と年齢の近い人が働いている事に親近感が沸いたのか、施設の雰囲気が明るくなりました」と、そのメリットを語りました。

アシスタントが思わぬ活躍をする事も

後半のディスカッションでは、ケアアシスタントについての質問が多く交わされました。その一部を紹介します。

Q.業務のリスト化や分担は誰が、どのぐらいの時間をかけて行いましたか?

A.係長や主任といった管理者が2カ月ほどかけてリスト化しました。正直大変でしたが、その労力以上の価値があります。専門職が専門業務に取り組む時間を増やす事が、業務改善のヒントになります(後藤さん)

Q.シニア採用では「自分にもできるか」という不安を感じる人も多いのでは?

A.新しいチャレンジを促すよりも「人生経験を活かした仕事をしませんか」というアプローチが最適です。実際、書道経験のある方に習字のレクリエーションを指導してもらった事があります。中にはバリバリ働き、地域の民生委員に選ばれた方もいました。シニアは採用側が思った以上の活躍を見せてくれますよ(後藤さん)

Q.訪問介護事業所なので有資格者が中心。アシスタントにできる事が限られています。

A.介護に関するアシスタントではなく、事務や経理のできる方を募集するといった方法もあります。実際、実務経験が多い方が溢れているはず。広い視野で見ることが大切です(神内さん)

また質問の他にも、小規模な事業所で働いているという参加者から「かつてアシスタントを入れたが、専門職から『自分たちでできるから、その分で給料を上げてほしい』と言われてしまい上手くいかなかったことがある。ただ、待遇が改善した現在は、専門職が専門職の自覚を持ち集中するためにも取り入れても良いと感じた」と、前向きになったという意見を聞く事ができました。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。