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【レポート】オンライン相互勉強会「最低限覚えておくべき管理者業務とは?」

メルキタ介護

2023.09.01

ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は8月17日(木)に行われた勉強会「最低限覚えておくべき管理者業務とは?」のレポートをお届けします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。

「担当任せ」ではなく組織として管理者を育成。

管理者に必要不可欠な能力を説明した前回に続き、今回は管理者の業務について詳しく解説していきます。神内さんはまず管理者の役割として「理念を伝える」ことの重要性を説きます。

「何のためにサービスを提供しているか、事業所を運営しているかをきちんと伝えなければ、従業員たちが仕事を『作業』としてとらえてやりがいもサービス品質も低下してしまいます。介護福祉が社会課題の解決につながることを明確に示し、事業所で設定した目標に向かい動くように部下たちを導きましょう」

ほか、神内さんが取り上げた具体的な内容は以下9つ。 

(1)戦略的課題と目標の設定/職員へ向け、事業所の方向性や目標を明確にする必要があります。

(2)予算と財務管理/組織の健全な運営に欠かせない重要な業務です。単なる儲けととらえず、事業の継続を見据えて管理しましょう。

(3)人材管理/スタッフの得意分野や能力を把握し、適材適所で配置。さらに社内研修やキャリア開発プランでスキルアップの支援もしましょう。

(4)品質管理と規制遵守/サービスの品質基準を定め、定期的に検査を実施しましょう。法的規制や業界基準も遵守し、事業所の信頼性を向上させましょう。

(5)顧客サービスと関係管理/本人・家族などがどんなサービスを望んでいるかニーズの把握。定期的なコミュニケーションで信頼関係を構築し、問題があった際は迅速な対応・解決を目指し満足度を高めましょう。

(6)業務管理体制の整備/法令遵守、人材管理、品質管理、財務管理の重要性をふまえ組織づくりを行いましょう。

(7)介護保険法の理解/介護のサービス範囲と負担、規制について適切に理解しましょう。

(8)事業所基準や設備・人員配置基準の把握/特に人員配置は最低基準を守るだけでなく、ワークライフバランスや利用者特性に応じて品質基準を考慮して配置しましょう。

(9)労働法令/労働者の権利と環境に関する法律を把握しておきましょう。


「法令遵守や介護保険法の理解は必要不可欠ですが、上記すべてを一挙に学んで把握するのは至難の技です。管理者となった際は最低限だけを把握し、徐々に学ぶことを心がけてください。また突然管理者が退職した際にも対応できるように『担当任せ』ではなく、組織として二番手、三番手となる人材を日々育成しておくことも大切です」

まずは誰でも管理者になれる枠組みづくりを。

勉強会の後半では、参加者から実体験を踏まえた感想が発表されました。一例を紹介します。

参加者A:自分が管理者をしていた際、引き継ぐ部下のタレント性を見極めることができず、うまく継承ができなかったと感じています。

神内さん:個々のタレント性やスキルの見極めはかつて重要でした。しかし人手不足の昨今は個人の能力に依存せずに、誰でも、いつでも管理職になれる枠組みを構築するのが大切です。まずは誰もが基本をこなせるように教育を行い、タレント性を見るのは後にすると踏まえておきましょう。

参加者B:プレイヤーとして優れた人物がマネージャーとなるケースが多いですが、こうした人物が必ずしもマネジメントに優れている訳ではないと実感しました。
参加者C:「適材適所」と言うのは簡単ですが、実際に配置するまでは難しいと感じます。

神内さん:すべての人員を客観的に見て把握するのは難しいです。自分がかつていた職場では「動物占い」でタイプを分け、配置していました。現在であれば「ストレングスファインダー(R)」など、オンライン上でできる資質診断ツールがあります。バランスを重視したチーム構築や配置のミスマッチ防止にもつながるので積極的に利用してみると良いでしょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
北海道介護現場業務改善推進委員、公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。