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【レポート】オンライン相互勉強会「アクティブシニアの採用と活躍できる職場のつくり方」

メルキタ介護

2023.10.06

ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は9月21日(木)に行われた勉強会「アクティブシニアの採用と活躍できる職場のつくり方」のレポートをお届けします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。

人材不足をアクティブシニアというメンターで解決。

2020年の国勢調査によると札幌市内の65歳以上人口は54万9151人、総人口に占める比率は27.8%と実に4人に1人が高齢者となっています。そのうち、就業している人口は21.1%の11万6000人にものぼり、さらに年々増加することが明確です。
神内さんは「加速度的に生産人口が減る一方、健康寿命は長くなり、経験豊かで働く意欲のある高齢者、つまりアクティブシニアも増加します」と説明。その特徴を以下のように伝えます。

アクティブシニアの特徴

(1)経験豊かで、それを生かした仕事に取り組みたいと考えている。
(2)働く意欲が旺盛。年齢に関係なく働きたい意欲を持つ。

「彼、彼女らのようなアクティブシニアを『お手伝い』や『ボランティア』感覚で扱うのは間違いです。たとえ業界未経験でも、組織マネジメントやバックオフィスに向いていることもあり、メンターとして職員の助言や指導を担える可能性や、私たち介護福祉業界にはないスキルを持っている可能性もあります。実際にコンピュータースキルの低い事業所に通信系企業アクティブシニアの方が入り、業務のデジタル化を推進したという事例もありました」

アクティブシニアを上手に活用するには?

では、そんなアクティブシニアを活用するにはどんな手段が必要なのでしょうか。
「彼、彼女らの一番の不安である健康面を最大限にサポートして、事業所側が寄り添うことが必要です」と神内さんは説きます。

【アクティブシニアにとって働きやすい職場とは】

◎健康とウェルビーイングのサポート
定期的な健康チェック、ストレスケア、健康意識の向上を助けるセミナー等の実施

◎参加プログラムや専門支援の提供
趣味やボランティア活動等の提供。シニア専属のスタッフによるサポートの提供

◎円滑なコミュニケーション
スムーズに情報や意見を交換できる環境作り

◎業務のフィードバック
成長やモチベーションの維持や向上のためのフィードバック

「大切なのはアクティブシニアが働きやすい環境を整備することで、障がい者や年齢、性別を問わず誰もが心身共に働きやすい職場づくりが可能となる点です。担い手不足の現状で『専門職じゃないとダメ、常勤できないとダメと』色々な可能性を排除すると、将来自らを苦しめることになります。ダイバーシティに配慮した職場づくりを、アクティブシニア採用を契機に実現してみましょう」

コミュニケーションまで活性化した例も

勉強会の後半では、参加者から実際にアクティブシニアを採用した事例が述べられました。一例を紹介します。

参加者A:障がい者福祉施設で、利用者さんの送迎ドライバーとしてアクティブシニアの方を採用しました。空いた時間も掃除や草刈りなど、他の職員の手が回らないことまでやってくれています。さらに人柄も良く、職員同士のコミュニケーションも活性化するなど、想像以上のメリットも感じました。

参加者B:80代の方を採用しました。勤務時間や形態を年齢や健康状態と共に見直したり、職場側が譲歩してニーズに合わせたりすることも重要だと実感しています。

神内さん:譲歩をし過ぎるとハレーションが起きる可能性もあります。現在働いている方が定年後に雇用延長を続けるケースも踏まえて、一般職員とのバランスも大切です。

参加者C:特養老人ホームで元病院看護師だったという方を受け入れました。退職後に体力的な理由から復職は考えていなかったそうですが、「高齢者施設なら頑張れるかも...」と、看護から見た介護の敷居の低さが選んだ理由のようです。

神内さん:看護師の採用は良い事例ですね。障がい者施設での採用もいいかもしれません。緊急対応や夜勤ができないなどの制限はあるかもしれませんが、知識や経験、見守りやアセスメントなどさまざまな活用の場があるでしょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。