【レポート】介護オンライン相互勉強会「委員会設置義務化に向けての勉強会vol.1」
メルキタ介護
2024.06.05
ジョブキタの主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は4月18日(木)に行われた「委員会設置義務化に向けての勉強会vol.1」の内容をレポートします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
さまざまな項目で登場した「委員会設置」
令和6年度介護報酬改定が4月1日に施行されました。今回神内さんが勉強会のテーマとして取り上げるのは、さまざまな項目で登場した「委員会設置」というキーワード。具体的にはBCP、感染症、虐待防止についての委員会設置と、研修・訓練実施が義務として盛り込まれています。以下は感染症に関する項目の例です。
感染症の予防及びまん延防止のための取組義務※青字が新設項目 | |||||||||
施設系サービス | その他サービス(訪問、通所、短期入所、福祉用具貸与、居住系) | ||||||||
①感染対策委員会の開催 ②感染症や食中毒に係る指針の整備 ③感染症や食中毒に係る研修の実施 ④感染症を想定した訓練の実施 |
①感染対策委員会の開催 ②感染症や食中毒に係る指針の整備 ③感染症や食中毒に係る研修の実施 ④感染症を想定した訓練の実施 |
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「委員会は幅広い職種の職員で構成し、可能であれば医療・看護系の職員に感染対策担当者を担わせる、定期的または感染症流行時期に開催するなど、いくつか努力義務が設けられています。ほか虐待防止なども委員会の開催、担当者の設置が義務付けられていますが、大切なことは『委員会・担当者』=責任者ではないということ。あくまで実施のために話し合いを行う組織ととらえ、皆で積極的に参加しましょう」
「人材確保」と「介護の質向上」が義務化
また今回は新たに「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置」が、約三年間の猶予付きで義務付けられました。
「猶予期間は令和9年3月31日まで。とっても長いタイトルですが、簡単に言えば人材確保と、今いる利用者さんへの質の確保の両立を目指すための委員会で、在宅・訪問系以外の全サービスが対象です。委員会の検討項目については、具体的に明示されていませんが、新たな加算の「生産性向上推進体制加算」のデータ提出要件を参考にすると以下のようになります。
委員会が指標とする項目 | |||||||||
①利用者の満足度等の評価 ②介護職員の心理的負担の評価 ③総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の調査 ④年次有給休暇の取得状況の調査 ⑤機器の導入等による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の調査 |
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「①利用者の満足度であれば、同じ利用者5人にヒアリングをすること。③業務時間については勤怠について、有給休暇は維持しているか取得率が増えているかなど、それぞれの判断方法についても明かされています。今回、在宅系サービスは対象にはなっていませんが、今後義務化する可能性があり、実際に利用できるメリットもありますので、将来に向けて取り組んでみることをお勧めします」
「義務だから」ではなく自分たちのための訓練を
勉強会の後半では、参加者から相談や質問が寄せられました。一例を紹介します。
参加者A:委員会の設置を進めましたが「作って終わり」の状態になってしまい、明確な運用の将来像を描けていません。複数の委員会を兼務する職員が多いことや、ガイドラインが多いことも混乱の原因になっています。
神内さん:混乱を避けるために、まずは委員会の一覧、そのメンバーと開催頻度を明らかにしましょう。ガイドラインを見える化することをお勧めします。また災害対策や感染症対策については、「明日起きた時にできる対策」だけでも見直しておきましょう。
参加者B:虐待防止や災害防止などさまざまな計画に取り組みましたが、訓練の実施ができていません。サービス形態や事業所ごとでも方法が異なる点にも二の足を踏んでいます。
神内さん:皆様も過去、学校の避難訓練なんかで経験した記憶がある方も多いと思いますが「なんちゃって訓練」をやっている所も少なくありません。一方、今回義務付けされた訓練の一部は、机上でのシミュレーションも認められています。「やらされている」感覚で訓練したり、二の足を踏んで先延ばしにするよりも、机上だけでも理解しておくことをお勧めします。「義務だから」と取り組むのではなく、万が一の時に困るのは自分たちであるということを踏まえておきましょう。
以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。
●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。