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【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「カスハラ対策編」

メルキタ介護

2022.05.09

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介護業界における課題解決を目指してジョブキタが開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回のテーマは介護現場におけるカスタマーハラスメント(以下カスハラ)対策について。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さん。

まずは「重要事項説明」でハラスメントを予防

令和3年度の介護報酬改定では「ハラスメント対策の強化」が義務化されました。一方で介護の現場で発生しやすい利用者や利用者家族からの暴言や暴力、性的な嫌がらせなど「カスハラ」については、義務ではなく「対策を推奨」する形となっています。しかし「スタッフの定着や施設運営に密接に関わるため、積極的に取り組んでほしい」と神内さん。まずは基本となる対策3つを説明しました。

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大切なのは『重要事項説明書』に明確に記載した上で説明を重ね、『ハラスメントは絶対に認めません』という姿勢を見せる事。そして最悪の場合にはサービスの提供を停止すると伝える事です。

「停止にはいくつかのステップがあり、全ての場合が認められるとは限りません。また認知症や障がい症状による言動やクレームは対象外となるケースもあります」

過去の事例を読んで防止と対策を

次に、厚生労働省が発表している「介護現場におけるハラスメント事例集」を紹介。骨折事故後の対応で家族からの責任追及が高まり暴言に至った事例や、特定の職員に対し暴言や性的発言を受けた事例を解説しました。

神内さんは事故後の対策として「一人やいち施設で抱えず、本部への報告体制をつくる」「解決が困難な場合は弁護士に窓口を移し、現場の負担を減らす」「地域包括センターや警察と相談できる体制をつくっておく」とアドバイス。「防止や解決につながるアドバイスが多く記載されているので、フル活用してほしい」と話しました。

参考:厚生労働省【介護現場におけるハラスメント対策

認知症や犯罪との線引きとは?

後半のディスカッションでは、参加者それぞれの体験談を交えての相談や質問が行われました。一部を紹介します。

参加者A:暴力や暴言など「病気や薬の副作用かもしれないから仕方ない」と思っていたら、後々になってハラスメントだったと気付いたケースもありました。認知症等の場合、特に線引きが難しく感じています。

神内さん:認知症か否かの判断は正直、非常に難しいです。自分達だけで解決しようとせず、行政や地域包括センターといった第三者に客観的判断を仰ぎましょう。

参加者B:契約時やサービス開始時にハラスメントについての方針を伝えています。しかしハラスメント以外にも山のように説明事項があるため、利用者とその家族が覚えていないというケースも。録音や録画等の形で残しておくことは問題ないのでしょうか。

神内さん:説明方法にもテクニックが必要となります。ハラスメントは契約にかかわる事態だという点は強調して伝えるべきです。また、録音は秘密裏に行っても法的に問題ありませんが、活用方法を間違えると法的にNGとなりますので注意しましょう。

参加者C:訪問系だとやはりハラスメントは発生しがちで、スタッフがカバンの中を漁られるといった事がありました。こうした「事件・事故」と「カスハラ」はどう判断すべきでしょうか。

神内さん:ハラスメントの枠を超えた犯罪行為に関しては毅然とした対応が必要です。何かあった時に対応できる弁護士を用意する事はもちろん、警察も含めた行動フローをあらかじめ整えておきましょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のため、介護経営のコンサルタントとして、講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。