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【レポート】介護事業所向けオンライン相互勉強会「人材獲得に有効なSNS活用のポイント」

メルキタ介護

2023.01.04

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介護業界における課題解決を目指してジョブキタが開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回のテーマは「人材獲得に有効なSNS活用のポイント」です。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さん。北海道アルバイト情報社(HAJ)でSNSを活用している担当者も解説に登壇しました。

メディアも表現も、適切な利用を

前回に引き続き、介護事業所が人材を獲得するための広告運用について解説。神内さんは「今でもネットよりテレビの視聴時間のほうが長い」という統計を紹介した前回を踏まえ、旧来のメディアも検討する必要があると解説します。

「もちろんSNSの活用も有効ですが、社会からの信頼性を得るという目的であれば新聞広告が効果的ですし、限定した地域で事業所を宣伝するのであれば折り込み広告やポスティング等が効くこともあるでしょう。地域や世代、目的に応じて使い分けることが必要です

また注意が必要なポイントとして介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)の広告には表現上の規制があると説明しました。

「例えば、老健であれば施設の名称や施設の機能といった事実の公示のみが許されています。それ以外の事業所に関しても、客観的事実に基づかない表現は見た人に誤解を与える、または虚偽にあたる広告として注意される場合があります。SNSを活用する際にも配慮をしてください」

〈客観的事実の裏付けがないと使用できない用語の例〉
・最も優れ、最上位にあることを表す用語
最高、最高級、一級、極、等
・他よりも抜きん出ていることを表す用語
日本一、日本初、業界一、当ホームだけ、他に類を見ない、超、等
・全く欠けるところがない完全性を表す用語
完全、完璧、絶対、万全、等
・具体的な数値を明示せずに使われる用語
多数、多くの、十分な、等
・一定の基準よりも高度に選別されたことを表す用語
特選、厳選、特別、等
・他よりも有利に扱われることを表す用語
最優先、優先的に、等
※公正取引委員会公示/(社)全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームの広告等に関する表示ガイドライン」より一部抜粋

SNSはゼロ円から始められる広告塔

第二部では北海道アルバイト情報社で、SNSの運用を手がけているスタッフが登場。プライベートで使用しているSNSでも1万人超えのフォロワーを持つという経験を生かして、運用のヒントを語っていきます。

「SNSを使いこなしている世代の求職者は、自分が気になる求人を発見するとまず、各企業のWebサイトとSNSをチェックし、ブラック企業でないかを確認します。その行動を逆手に取り、企業の魅力や雰囲気を伝える投稿や動画を上げておくと、好感度を上げることができるという訳です」

また、どのSNSを使用するかについてはそれぞれの特性を理解し、目的によって使い分けることが大切と説明。

ある福祉事業所でのSNS活用事例一例

SNS 目的 更新担当者 SNSの特徴
Instagram 集客 各拠点職員 10代、20代のユーザーが半数以上を占める。雑誌感覚で、ビジュアル訴求に強い。
Twitter 新卒採用 学生インターン 20代からの利用が多く、平均年齢は36歳。リアルタイム性・ニュース性や情報拡散力がある。
YouTube 採用(新卒/中途) 広報戦略室 動画を用いた訴求で、求職者が会社の雰囲気をイメージしやすい。
Facebook ブランディング 広報戦略室 ユーザー層は20代から50代まで幅広い年齢。ビジネスシーンでの活用が多い。
note 認知度向上 職員/広報戦略室 ブログ形式、文章が中心。記事の拡散がしやすく、SEO対策にも利用ができる。


「実際、ある事業所がSNS運用を通じて求人を強化したところ、求人とのミスマッチが減ったことでスタッフの定着率が向上したり、親御さんの理解を得られたりというメリットがありました。SNSはもはや、Webサイトのおまけではありません。その上、誰でも無料ではじめることができます。これからはメインとして運用に力を入れてみてください」

SNSで会社の風土をつくり、マッチングにつなげる

後半のディスカッションでは参加者から事例や質問が寄せられました。一部を紹介します。

参加者A:職員数人でSNSを有効に活用しています。年に1度「いいね」が最も付いた投稿の担当者に商品券をプレゼントするといった社内表彰制度も作りました。こうした活動が求職者へのPRだけでなく会社の風土作りやブランディングにつながっていると実感しています。

神内さん:一度、アカウントを作り運営していくと大切に育てていきたいという気持ちが芽生えますよね。社内向けと求職者向け、それぞれのターゲット像に合わせて投稿者やアカウントも別としても良いかもしれません。

参加者B:ブログ、各SNSは同じ内容を投稿していますが、投稿するネタがなく研修の内容ばかり。運用者が楽しく活用しなければ、見る側も楽しめないと実感しました。

HAJ:SNSはこちらが発信をするに従って交流が増え、情報が入って自然と楽しめるようになります。同業のSNS活用術を学ぶこともヒントにつながるでしょう。

参加者C:広告ガイドラインを意識したことがありませんでした。他に注意すべき点はありますか?

HAJ:拡散させたいがために過激な表現を使ったり、見る人をあおったりする方法、いわゆる「炎上商法」はくれぐれも使わないようにしましょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人北海道社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。