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【レポート】現場リーダー向けハラスメント事前予防対策相互勉強会

メルキタ介護

2021.07.13

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5月20日(木)、2回目となる「介護事業所向けハラスメント事前予防対策相互勉強会」をオンラインで開催し、18名が参加しました。講師は前回に引き続き、ふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介代表。令和3年介護保険制度・報酬改定で義務付けられた「ハラスメント対策」の事前予防策を議題として、今回は現場のリーダーへ向けた内容を展開しました。

kamiuchi.jpg●ふくしのよろずや神内商店合同会社
代表 神内秀之介さん
北海道社会福祉士会会長を筆頭に数多くの肩書を持ち、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上に取り組んでいます。

ハラスメントはゼロから起きない

神内さんはまず前回のおさらいとして「職員同士だけでなく、利用者、利用者家族からの暴行や暴言、セクハラを防ぐことが離職防止、労働環境改善につながる」と改めて説明します。その上で、「ハラスメント対策の強化が運営基準として設けられたからには、取り組まなければ運営基準違反として処分される可能性もあります」と対策の意味を強調しました。

今回はリーダーが現場をマネジメントをするために必要な対策について、厚生労働省がHPで公開しているチェックリストをもとに解説していきます。

サービスを開始する前に注目したい点は「利用者の過去の暴力行為やアルコール依存症、認知症の進行程度などハラスメント発生のリスクを把握しておくことが重要。また、『ハラスメントはお断り』という説明を利用者に理解してもらうことも大切です。その上で、ハラスメントはゼロから起きないと把握しておくこと。日々の関係性が原因となるということを頭に入れてください」と述べました。

利用者・家族との関係は
「友達」ではなく「仕事」であることを忘れずに

その関係性と密接なのが、サービス開始後の「個人情報の提供を断っているか」の項目。

「親しくなるがゆえ、担当職員に悪気がなくてもプライベートな質問をしてくる利用者は少なくありません。けれど、利用者と職員は友達や家族ではありません。どんなに親しくなっても仕事であることを忘れず、適切に断ってください」

また、利用者からのハラスメントの発生やリスクを感じた際の対策として、職員が上司や同僚に気軽に報告できる環境を作ることが大切だと話します。

「線引きが難しい点になりますが、本人が『ハラスメントだ』と感じればハラスメントです。"このくらい介護業界では普通"という思い込みは、さらなる被害を招く可能性があるため要注意です。

以前、介護士になりたての職員が利用者の荒っぽい言葉遣いに驚いてしまったことがありました。他の職員にとっては日常茶飯事でも『もう少し優しい言葉遣いをしてくださいね』とやんわり注意する程度は組織として対策することが必要です」

職員個人のせいにせず、
組織としての責任を持つこと

後半では参加された皆さんと意見交換を行いました。

「経験年数や技術によって、ハラスメントに対応できる人、できない人がいる」という声に神内さんは「特に業界歴の浅い職員は、サービスの範囲を充分に理解しておらず、利用者の要求を何でも聞いてしまいがちです。しかしサービスの範囲を理解してもらうよう適切に対応することは、職員の成長にもつながります。特に今回のように制度が変わる場面は職員育成の大チャンスです。ぜひこれを機に取り組んでください」と話しました。

また将来的な対策として「利用者像は世代交代により変化してきています。例えばこれから、スマートフォンやパソコンなど機器を使いこなせる利用者も増えてくるでしょう。実際に利用者が職員を盗撮したり、根拠のないクレームをSNSに書き込んだりと、対応が難しくなっている事案も発生しています。進化するであろうハラスメントのあり方への準備として、今回の対策が土台となるでしょう」と述べます。

最後に組織のリーダーに向けた心がけとして神内さんは「ハラスメントが発生するのは、組織の責任です。万一の際に、職員を守るための体制ができているかを考えてください。この点をくれぐれも忘れずに、職員個人ではなく組織として責任を持って対策に取り組んで行くことが大切です」と強調しました。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。