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【レポート】介護オンライン相互勉強会「第9期介護報酬改定の方向性中間報告共有会2」

メルキタ介護

2023.12.28

ジョブキタ主催で毎月開催している「介護事業所向けオンライン相互勉強会」。今回は12月19日(火)に行われた勉強会「第9期介護報酬改定の方向性中間報告共有会2」のレポートをお届けします。講師はふくしのよろずや神内商店合同会社の神内秀之介さんです。
第9期介護報酬改定の方向性中間報告共有会1のレポートはこちら

改定の柱が「推進」から「対応」に変化。

議論が進んでいる2024年春の第9期介護報酬改定。今回は12月18日に公開された「社会保障審議会介護給付費分科会資料」を参考に、神内さんが最新情報を解説していきます。
「すでに報道でご覧になられた方も多いかと思いますが、基本的には報酬引き上げの方向で、介護報酬は1.59%、障害福祉サービスは1.12%の上昇が示されています。この数字に安心している方もいるかと思いますが、『財政中立』の原則があるため、今まで通りの方法では利益を実感できないでしょう」
そこで大切になるのが、いち早く改定に応じて対策をすること。今回明かされた全サービス形態共通の改定の柱は以下です。

令和6年度改定の柱を比較

令和3年度介護報酬改定 令和6年度介護報酬改定(案)
◎感染症や災害への対応力強化
◎地域包括ケアシステムの推進
◎自立支援・重度化防止に向けた取組の推進
◎介護人材の確保・介護現場の革新
◎制度の安定性・持続可能性の確保
◎地域包括ケアシステムの深化・推進
◎自立支援・重度化防止に向けた対応
◎良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
◎制度の安定性・持続可能性の確保


「注目したいのは自立支援・重度化防止に向けた取組が『推進』から
一歩進んだ『対応』に変わっていること。人材確保についても『働きやすい職場づくり』と明確化されていることもポイントです。担い手不足が叫ばれてきてから十数年準備してきたことを、100%実践するフェーズに移行した言えるでしょう」

現場職員は時短勤務、管理職は兼務可能に。

次に具体的な改定案を見ていきます。今回は「大幅改訂」が噂されていたものの、全サービスでの共通事項は4つとなっています。

全サービス共通比較

令和3年度介護報酬改定 令和6年度介護報酬改定(案)

◎感染症対策の強化
◎業務継続に向けた取組の強化
◎CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
◎人員配置基準における両立支援への配慮
◎ハラスメント対策の強化
◎会議や多職種連携におけるICTの活用
◎利用者への説明・同意等に係る見直し
◎員数の記載や変更届出の明確化
◎記録の保存等に係る見直し
◎運営規程等の掲示に係る見直し
◎高齢者虐待防止の推進
◎地域区分

◎人員配置基準における両立支援への配慮
◎管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
◎いわゆるローカルルールについて
◎「書面掲示」規制の見直し

項目の中でも注目したいのが「人員配置基準における両立支援への配慮」。
「育児・介護等で短時間の勤務をする場合に、合計で週30時間以上の勤務であれば『常勤』として認められるようになります。主婦やシニア人材が活用しやすくなり、事業所にとっても大きな追い風となるでしょう」
また「管理者の責務及び兼務範囲の明確化等」も現場の人員配置に大きく影響すると、神内さんは解説します。
「管理者は業務を『適時かつ適切に状況を把握できる場合』という条件付きで、複数事業所の管理職を掛け持ちできるようになります」

人員不足の事業所には朗報。処遇改善は議論が進む。

勉強会の後半では、参加者から相談や質問が寄せられました。一例を紹介します。

参加者A:管理者のマネジメント力を強化して集約するか、それとも後身を育成して分散するかを考えていました。

神内さん:今回、マネージャーの兼務が可能になると集約化がしやすくなります。また管理者以外も職種によってはリモート勤務を可能とする案も出ています。担い手不足に悩む事業所は今回の規制緩和をうまく活用して次の手を考えましょう。

参加者B:処遇改善加算の開始時期は分かりますか?

神内さん:報酬改定は福祉系が4月、医療系が6月となっていますが、処遇改善加算の開始時期が4月か6月か、どちらかはまだ決まっていません。一方で全国的な賃上げを受けての補助金については、令和6年2月から5月までの間で支給が決まっています。

参加者C:2024年4月に義務化されるBCPの策定を急いでいます。今回はどこまで手掛ければ良いでしょうか?

神内さん:施設系ではBCPの一段階先のBCM(事業継続マネジメント)、つまり運用までできないと4月以降は減算となります。一方、訪問系はBCP策定のみに留まり、指針と計画を立てるだけで問題ありません。ただし2027年の改定ではBCMも義務化が見込まれています。スムーズに移行できるよう、3年間で運用についても準備を進めておきましょう。

以上、今回のレポートは勉強会の一部を紹介しました。

<講師>
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●ふくしのよろずや神内商店合同会社

代表 神内秀之介さん
公益社団法人日本社会福祉士会理事を筆頭に数多くの肩書を持ち、介護経営のコンサルタントとして、福祉業界のサービスや経営環境、就労環境の向上のために講演活動やさまざまな経営のアドバイスを行っている。